1178.私が唯一後悔したこと

真我日記

佐藤康行の体験談です。

「私が唯一後悔したこと」

についてです。

私の親父は、

早くに

お袋に先立たれてしまったから、

それ以来

ずっと一人暮らしでした。

私は24歳の頃、

宝石の営業マンをやっていましたが、

ある時期、

和歌山県の方に

セールスに行っていました。

その時のお客さんで、

一人暮しの

50代の奥さんがいました。

その奥さんとは

親しくなっていろいろ話しましたが、

なかなか気さくでいい方なんですね。

仕事で疲れてくると、

その奥さんの家に立ち寄って

「ちょっと休ませてくれる?」

と言ってよくお邪魔していました。

そうこうしているうちに、

ふっと浮かんだことがあったんです。

(うちの親父と会わせてみよう…)

それで

すぐにその奥さんに言ってみたんです。

「うちの親父と

お見合いしないですか?」

その奥さんも私のことを

気に入ってくれていましたから、

親父に対しても

良いイメージを持っていたんでしょう。

すぐ

良い返事が返ってきました。

私はすぐその場で

北海道の親父に電話をしました。

「和歌山に

こういう奥さんがいるんだけど、

親父と見合いしたいって

言っているんだよ。

良い奥さんだよ。

親父絶対気に入ると思うよ」

親父は電話口で

「わっはっはっ」と

笑っていました。

私は

「ところで親父、男として大丈夫か?」

と聞いたら、

笑いながら

「お前の想像に任せる」と

言っていたから、

(あ、大丈夫だ!)と思い、

早速その奥さんを

北海道まで連れて行きました。

会わせてみたら、

私が踏んだ通り

随分と気が合うんです。

バッチリでした。

(これは絶対上手く行った…)

私もすごく嬉しくなりました。

ただ、

その奥さんには

まだ中学校に通っている娘さんが

いたので、

親父はその娘さんのことを

ずっと心配していたんです。

ちょうど多感な年頃だから

彼女がどう思うか…と。

そうこうしているうちに、

奥さんは和歌山に帰って、

それっきりになってしまったんです。

何度か手紙は来たらしいんだけど、

お互いに年齢も行っているから、

それ以上は

ことは進まなかったんですね。

実はこのことが、

私の最大の心残りなんです。

(あんなに意気投合していたんだから、

私が最後まで決めてあげれば良かった…)

結局親父は

一人ぼっちで死んでしまいました。

私が若かったんだから、

私が

動かなければならなかったんですね。

(二人でうまくやるだろうな)

と思ってしまい、

仕事に忙殺されているうちに

その話は消滅してしまったんですね。

私が

何としてでも結婚まで

繋いであげれば良かったんです。

ある程度歳を取ると、

なかなか再婚したくても

自分からは動けなくなるから、

子どもの方が

動いてあげないとダメなんですね。