845.天職天命がわかった瞬間

佐藤康行の言葉をお伝えします。

天職、天命がわかった瞬間
についてです。

私はもともと事業家として
目的を達成し、世間的
成功らしきものを
次から次へと実現しました。

しかし私には
華麗な学歴もなければ、
生まれつき天才的な能力が
あったわけでもありません。

こういう人間は、
下積みからスタート
するしかないのが現実です。

コックになった私は
お決まりの皿洗いから始まり、
先輩に怒鳴られつつ料理を覚え、
ようやく自他ともに満足できる
メニューを作れるまでになりました。

そのまま辛抱すれば
それなりの料理人として
認められたと思いますが、
私は一転してセールスマンに
なりました。

宝石のセールスマンでしたから、
そうたやすく売れるものではありません。

最初は安い宝石を持たされ、
足を棒にして家々を回っても
丁重に断られるならまだしも、

疫病神のように
追い返されることも
たびたびで、
ものを売ることの難しさを
腹の底まで思い知らされる
日々でした。

そうするうちに
モノを売る呼吸や
コツがわかるようになり、

ときにはおもしろいように
売れることも経験し、
気がつけば月収数百万という
トップセールスマンに
なっていました。

私を推進したのは、
本当によいものを買った
お客様の笑顔でした。

宝石とは結婚など、
人生の節目に買うことが
多いものです。

そうしたときに本当に
美しい宝石を記念として
購入することは、まさに
一生の思い出となるものです。

もともと宝石などとは
縁のなかった私も、
お客様の幸せそうな表情を
見ると疲れなど
いっぺんに吹っ飛びました。

しかし、私の真の目標は、
まだそこにはありませんでした。

レストランのオーナーになることが、
当時考えていた人生の目標だったのです。

セールスマンを辞めるにあたり、
周囲の猛反対に合いました。

月収数百万を捨てて
成功するかどうかわからない
レストランを立ち上げるのは、
常識的に考えて無謀です。

しかし私には、
成功への確信がありました。

店を作ると、
さまざまなことがありました。

ときにはヤクザを敵にまわしたり、
ライバル店の妨害なども経験し、
そのたびに命を賭けて
店を守る覚悟を固めました。

そうするうちに
お客様がお客様を呼び、
収益も増加して
支店を作るまでに成長しました。

もうここで満足すれば私も、
世にあまたいる立身出世物語の
主人公だったことでしょう。

しかし、日々お客様の胃袋を
満たしている私は、
自分の心が満たないことを
自覚するようになりました。

自分の人生は、
ステーキのオヤジが
最終地点なのか。

いや違う。

もっと人間の本質に
触れるような仕事があるはずだ。

こう考えると、
果てしなく沈んでいったのです。

私のように勢いのある人間は、
外部に進軍しているときも
勢いがありますが、

沈み込むときも勢いよく
沈み込んでしまいます。

数カ月が悶々と過ぎました。

そしてある日
私は悟りました。

自分の天職とは、
人を導くことであると。

人間の心の奥底にある
「真我」を開発することであると。

その瞬間、
目の前にあった壁が
音を立てて崩れ、
本当の自分の役割、
天職、天命がわかったのです。

そうか、これが
私の天職だったんだ。

今までありとあらゆる
経験を積んできましたが、
どれも私の血肉と化し、
私を作ってくれた。

今度はそうした経験を
他人に伝える番である。

のみならず、
人間の心の奥底にある
真我について、
人に教えなければならない。

こうして私は、
自分の天命を自覚し、
新たなる命を天から
授かったのでした。

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