1625.心の謎を解き明かす

真我日記

佐藤先生の言葉をお伝えします。著者宇宙意識で因縁わ切るより

● 心の構造

私は、心は「三層」で成り立っていると捉えています。

まず心の一番表面は「観念(頭)」という層、その奥に潜在意識という二番目の層があります。

このどちらにも、それぞれあなたのこれまでの過去の記憶が蓄積されています。

そして、さらにその奥に心の第三の層があるのですが、その前に、この観念(頭)の層(第一層)と潜在意識の層(第二層)についてお話します。

心には、大きく分けて「プラス」の心と「マイナス」の心があります。

プラスは愛、マイナスは恐怖です。

野生の動物は、あらゆる原動力が「愛」か「恐怖」から起こります。

自分の子どもを愛する気持ちから餌を捕獲する、外敵が現れたら恐怖から身を守るという行動です。

これはプラスの心、マイナスの心の現れです。

しかし、人間の心はもう少し複雑にできています。

プラスの心は、「明るく」「前向きに」「積極的に」「夢をもって」「目標をもって」「プラス思考」「愛と感謝の気持ちで」「素直な心で」「勇気をもって」……と言われるものです。

マイナスの心は、「暗く」「後ろ向きに」「人を恨んで」「憎んで」「妬んで」「傲慢で」「偏屈で」「マイナス思考で」云々……です。

さて、みなさんは、どちらの心で生きた方が「幸せな人生」を送ることができると思いますか?

すると誰もが「プラスの心で生きた方が良い」と答えるはずです。

以前、私は刑務所で講演したことがありますが、刑務所に入っている人でさえ「プラスの心で生きた方が良い」と答えました。

しかし、それを頭で理解できても、なかなかそういった考えで生きていけるものではありません。

「プラスの心」「積極的に」「前向きに」と一生懸命思い込み、反復し、そしてさらに定着させるために心を落ち着かせて、心を静めて自己暗示をかけ、そして前向きな思考を鮮明にイメージしていく……。

確かにこれを徹底的に実践すれば、それまでよりプラスの心に近づくでしょう。

以前お話した「思いは実現する」という原理はこのことです。

心の一番表面の層(第一層)にプラス思考をインプットするという行為です。

頭では、誰でもマイナスの心で生きるより、プラスの心で生きたほうが良いと思うことはできるのです。

しかし、どんなにプラスの心に思おうと努力し、プラスの思考が大切だと理解しても、ふと我に返ったときに、「どうしてもそう思えない心がわき上がってくる」ということが出てきます。

それが、心の第二層である潜在意識の心なのです。

● 無意識の記憶

「感謝しろと言われたって、そう思えない」

「前向きに考えることが大事なことなんて、わかっているけど不安が消えない」

「愛の心をもって接したいけど、どうしても許せない」

「自分の感情がすべてを引き寄せるのだから、よい感情をもちたい……、でもできない」
このように「思うようにしよう!」というのは、実は「そう思っていない」から「思おう」としているのです。

「思うようにしよう」とする心の前に「すでに思っている心」があるのです。

「すでに思っている心」の方が圧倒的に強い心です。

この、ふと我に返った時にわき上がってくる「すでに思っている心」が、心の第二層、潜在意識です。

さて、私は「人間は記憶でできている」と捉えているとお伝えしました。

私たちはこの世に誕生したとき、すでにお父さんやお母さんに顔が似ていたり、性格が似ていたり、体質が似ていたりしています。

それは、先祖からの記憶を遺伝子によって引き継いでいるからです。

そして魂の世界では、前世のことも記憶としてあなたに蓄積されているのです。

さらに私たちは、生まれてから今日までに、たくさんの出来事を経験しています。

嬉しかったこと、楽しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと、また無意識のうちに感じ取っていることなど、それら無数の出来事の記憶があなたの中に保存され、すべての記憶をあなたは何ひとつとして忘れていません。

このように私たちは「遺伝子」、「前世」からの記憶を両方持ち合わせて生まれ、生まれてから今日に至るまでのすべての記憶は、あなたが頭では忘れているように思えても、細胞レベルですべて体に刻み込まれているのです。

その記憶が心の第二層である「潜在意識」に蓄積されているのです。

この記憶のことを昔から宗教などでは「業(ごう)」や「カルマ」と表現していることもあります。

また「細胞の記憶」「遺伝子の記憶」とも言ったりします。

そして、この潜在意識が、外界(心という内界に対し、目に見える外側の世界)によって影響を受けると、表に出てきます。

それは、過去の体験と似たような状況が現れたり、その刺激によって、ふと頭にわき上がってくるものなのです。

幼い頃、父親に厳しく育てられて、「いつも叱られていた」という苦い記憶が刻まれている人の場合を例にします。

その人は、時間が経過して大人になって、社会に出ても同じようなことを繰り返してしまう傾向があります。

会社の上司など、自分の父親と同年代の人を見る度に、過去の記憶がよみがえって、叱られてしまう行動を繰り返してしまうこともあります。

「叱られないようにしよう、叱られないようにしよう」と思い直してみても、過去の体験に伴って心に深く刻み込まれた心の強さにはかなわないのです。

このような反応は、他にもたくさんあります。

そして、これはほとんど自動的に起こります。

「思おう、思おう」とする観念(頭)の層より、この「すでに思っている」潜在意識の層の心の方が格段に強いのです。

ですから、ほとんどの人は、人生を過去の記憶を前提にして決定しているともいえます。
また、頭をいくらプラスに変えようとしても、業の心がマイナスであれば、効果はなかなか出ないのです。

むしろ逆効果になってしまいます。

それは心が分離してしまうからです。

頭をプラスにしても、心がマイナスであると、人を裁くか自分を裁くという悪循環に陥ってしまう危険さえあります。

「幸せになりたい」と思っていても、ふっと我に返ったときの心、そして、静かに目を閉じていたときに脳裏にわいてきた心、それが普段意識することなくあなたの人生を左右している原因なのです。

● あなたの一番奥に内在する本当の自分

頭でプラス思考を実践しようとしても、潜在意識がマイナスであれば悪循環になってしまうということをお伝えしました。

あなたの人生を左右する心が潜在意識であることもお伝えしました。

では、プラス思考を実践するというインプット型ではなく、その心を根本的に解決する方法はないのでしょうか。

潜在意識が存在する限り、人間を根本的に救う方法はないのでしょうか。

私は、心は三層で成り立っているとお伝えしましたが、潜在意識のさらに奥の部分、一番深いところにある心、「頭」でも「潜在意識」でもないあなたの心の一番奥にある心の第三層、ここが大きな鍵を握っています。

この最も奥にある心を「本当の自分」、つまり、「真(まこと)」の「我(われ)」ということで「真我(しんが)」と呼んでいます。

この真我の心に目覚めることによって、人が劇的な変化を起こすことを私は悟りました。
「真我」は、イエス・キリスト、仏陀、孔子など過去の偉人、聖人と呼ばれる人たちが、長い年月をかけて求め続けた「境地」、「境地の領域」、「宇宙の法則」とも言えます。
この真我は「満月の心(真我)」とも言えますし「実相の心」とも言えます。

また、「愛そのもの」「喜びそのもの」「感謝そのもの」、そして「宇宙意識」と言ってもよいのです。

一言で説明すると「完璧で完全なる素晴らしい心」です。

その心が、すべての人の心の奥にすでに存在しているのです。

「人間は記憶でできている」と述べましたが、真我は宇宙の記憶とも言えます。

この心の存在に気づき、真我と出会い、真我に目覚めれば、あなたの問題の根本解決になるのです。

真我は、観念や業を超越するのです。