佐藤康行の言葉をお伝えします。著者「悩み解決明快答」より
「もっとお金があったらなぁ…」
「今月も、支払いばっかりで、ぜんぜんお金が残らないな。いつになったら貯まるのやら…」
こういったお金の悩みは、どう解決できるのでしょうか。
悩みの解決策は、大きく二種類に分けることができます。
ひとつは、「悩みと同じ視点」での解決策。
もうひとつは、「悩みより高い視点」での解決策です。
この「悩みと同じ視点」「悩みより高い視点」とはどういうことでしょうか。
「悩みと同じ視点」での解決策とは、悩んでいることに向かい合って、直接解決しようという発想のことです。
たとえば先の「お金がない」「貧乏だ」という悩みがあった場合、解決策として、「お金を稼ぐ」という方法があります。お金を稼ぐことによって、貧乏な状態は解決されるわけです。
この解決策の視点は、「お金の有無」です。
「お金が無いこと」を悩み、「お金があること」で悩みを消す。
これが、悩みと同じ視点ということの意味です。
では、「悩みより高い」視点とは、何でしょうか。
「悩みより高い視点」での解決策は、悩んでいる視点とは別の発想で解決する方法です。
別の視点とは、「貧乏だ」という悩みに対して、「お金の有無」以外の財産や価値を発見する、ということです。
これは、「心の解決」つまり視点の転換なのです。
心の状態でいうと、悩みの多くは心の「不足感」からきています。その「不足感」を埋めるために、ここでは「お金」の補充で満たそうとしているのです。
しかし、心の世界では、「お金」そのものでなく、別なものでも「不足」を埋めることが出来るのです。
お金以外の財産や価値を発見する。
そして、その財産で「不足感」を満たしてあげるのです。
結果的に「貧乏な状態で悩む」ことから抜け出るわけです。
なぜ、そんなことが可能なのでしょうか?
それは、わたしたちの悩みはすべて、心の作用として起きていることであって、事実としてわたしたちはお金がなくても、貧乏どころか、もともと豊かに満たされた心の持ち主だからです。
こちらの解決策では、その視点が、お金の有無に注目している悩みの視点より高くなっています。
視点を高くすることによって、お金だけを見ていた狭い視野が広くなり、お金以外の自分の価値まで見渡すことができるようになっているのです。
わたしは、悩みより高い視点での解決策をとることを、「脱皮」と呼んでいます。
それは、それまでのあなたの生き方、考え方を脱ぎ捨て、新しいあなたになることだからです。
「脱皮」しなくても、解決する悩みはあります。しかし、「脱皮」による悩みの解決には、メリットだけがあり、一切のデメリットがありません。
ですからぜひ、私は、あなたに「脱皮」をおすすめしたいのです。
まず、悩みと同じ視点での解決策、つまり「脱皮」によらない方法(=非「脱皮」法)と、悩みより高い次元での解決策、つまり「脱皮」による方法(=「脱皮」法)を比較してみましょう。
二つの解決策の違いは、「時間・労力」と「範囲」という二つの点にあります。
一つ目の違いは、「時間・労力」です。
悩みと同じ次元の解決策、非「脱皮」法は、「時間と労力」がかかります。
「お金がない」という悩みに対して「お金を稼ぐ」という対策をとるとします。
すると、ある期間働いて、給料をもらえば、「お金がない」という悩みは確実に消えます。
しかし、働いて給料をもらうまでに「時間と労力」がかかります。
悩みと同じ視点の解決策は、「物理的な解決策」です。
つまり、空間と時間の中で動いたり、物を動かしたりすることによる解決策です。だから、解決に、「時間・労力」が必要になります。
「脱皮」法は、「時間・労力」がかかりません。
「お金がない」という悩みに対して「お金以外の財産を発見する」という対策がそれです。
「脱皮」法で、必要なのは、視点を変えるということだけです。だから、まったく動くことなく一瞬で悩みを解決できるのです。
「脱皮」法は、「心の解決策」です。
つまり、心の中で、悩みの視点を移動するということです。心の中での作業ですから、原理的に「時間・労力」もほとんど要りません。
二つ目の違いは、「範囲」です。
非「脱皮」法では、解決できるとしたら、「範囲」はその悩みだけです。
つまり、「お金がない」という悩みに対する「お金を稼ぐ」という解決策は、「お金がない」という悩みに対する解決策にすぎません。
他の悩みには対応していないのです。
たとえば、お金を稼いで、「お金がない」という悩みを解決したとしても、それによって、「恋人がいない」という悩みを解決することはできません。
お金持ちになれば、結果的に異性にモテるということはあるかもしれませんが、「恋人がいない」ことに悩んでいるお金持ちの人はたくさんいるでしょう。
非「脱皮」法は、基本的に、その悩みしか解決しません。
非常に狭い範囲の問題の対策なのです。
また、その解決のために、他の何かを犠牲にすることもあるのです。
お金を稼ぐために、家族と過ごす時間を犠牲にして、結果的に家庭崩壊につながるという例もあります。
「脱皮」法では、それがカバーする範囲は、非常に広いといえます。
「お金がない」という悩みに対して「お金以外の財産を発見する」という対策は、ただお金の悩みを解決するばかりではありません。他の悩みまで解決するということがいくらでも起こりえます。
たとえば、「お金以外の財産を発見する」のと同じより高い視点から、「恋人がいない」悩みを眺めるとき、さまざまなことが起きる可能性があります。
一つの可能性として、自分自身のいわゆる恋のストライクゾーンが変わって、恋人ができることもあるかもしれません。
あるいは、自分自身のなかにある「恋人ができない」理由や、それに悩む自分の性質が見えて、それを改善する行動へと移っていくかもしれません。
「脱皮」法に、こうした波及効果を期待できるのは、それが、自分自身の価値観を変えることにほかならないからです。
ここでの価値観を変えるということは、より正確にいえば、自分自身の価値観を明確にすることと言い換えられます。
つまり、あなたが、今価値を置いているものの奥にある価値をはっきりさせるということです。
たとえば、「お金がない」と悩む人は、お金が欲しいからそう悩むのです。では、なぜ、お金が欲しいのでしょうか。
それは、お金があれば好きなことをして暮らす自由が手に入るからです。つまり、自由が欲しいからです。では、なぜ自由が欲しいのか。
それは、自由に暮らす中で、楽しみたい、喜びたい、そして究極的には、愛されたいからです。
このようにあなた自身にとってもっとも根本的な価値、すべての根っこにある価値を突き詰めていくこと、今までの価値から「脱皮」できるのです。
「それはなんだか、気休めっぽいなぁ」と感じられるかもしれません。
しかし、ここに人やお金や物に物理的に困らないための大きなポイントがあるのです。
貧乏な状態、不足した状態の原因は、その心にあります。
例えば、実際に稼いでお金の悩みを解決しても、お金に嫌われる心の持ち方をしていては、すぐにお金は遠ざかっていきます。
「脱皮」法で、自分の中に存在する大きな財産に気づいた人は、結果的に、その豊かな心が原因となって、人にはもちろんお金や物にも好かれ、人やお金や物を引き寄せる、という結果に結びつきます。