1442.もうだめだと思った時が本当のスタートラインだ

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者成功と幸福を呼ぶ言葉より

ボクシングの名チャンピオンだったモハメド・アリという人がいます。

以前は、カシアス・クレイと名のって、ホラ吹きクレイだとか、変人だとか言われていました。

私はある時、彼の自伝映画を観たことがありました。

その映画のラストシーンにこういう場面がありました。

『私は走る、走る、走って走って走りぬく。私は倒れる。苦しくて。でもまた起き上がって走る。また倒れる。また起きる。それを繰り返しているうちに、私の足はもう一歩も動かなくなる。それでも私は起きる。そして、もう最後には全く動けなくなってしまう。しかし、これからが私にとって本当の練習が始まる時なのだ。』

このシーンを見て、私は感動しました。

世界のナンバー1になるような人はこうなのです。

もう動けなくなった、と思った時からスタートするのです。

相撲の解説者の話を聞く機会がありました。

大相撲の稽古というのは、いやでもさせられるのですが、なぜ同じ稽古をしてどんどん強くなる人と、落ちていく人がいるのかというと、稽古に対する心の姿勢が違うというのです。

同じ稽古をさせられても、今日一日の内に自分の全ての力を出しきろうと思っているのか、力を抜いているのかによって差がついてくるということです。

十の力があったら、それを全部だしきって次に十一の力になろうとしているのか、七、八分目くらいに押さえているのかで、大きな違いが出てくるということです。

全部出して十一の力になろうとしている人は、一晩寝ると、ちゃんと十一の力がついている。

今度は十二の力になろうとする。それを繰り返すうちに何十という力になり、大関、横綱になれるのだそうです。

ほとんどの人が、持っている力を出し惜しみしているのです。

全力投球して、今まで出したことのない力を出そうとしていると次の新たな力が湧き出てくるのです。

スポーツの世界だけではなく、私たちの日常生活も全く同じなのです。

私も宝石のセールス時代に同じような経験をしました。

宝石のセールスもだいぶ慣れて、売り上げもコンスタントに上げられるようになった頃のことでした。

ある時、私はこのままでよいのだろうか、このままではセールス力が弱くなるのではないかと思いました。

私はもともと将来の資金を稼ぎだすため以上に自分を磨くために、このフルコミッションセールスの道を選んだのですが、最近売れているのはただ単にお客様と親しくなったから、付合いで買ってくれているのではないかと疑問に思えてきたのです。

『よし、自分自身への挑戦のために今度は全く知らない人ばかりの所に売りにいこう。それもどうせ行くなら、一番大変な所に行こう』と決意し、私が選んだには日本の最北端の北海道の稚内、それも厳冬の時期でした。

私の心が決まった瞬間、不思議に胸がドキドキ高鳴り、顔が火照って何とも言えぬ興奮が押し寄せてきました。

『これで売れなかったら、今までの自分の力はニセ物だったのだ。よーし!やるぞ~!』と心の中で叫んでいました。

そして、上司、他の営業マンに「私は二十日間以内に稚内で八百万円以上売れなかったら、皆さんの前で腹を切って死にます。嘘は言いません」と断言して、北海道の稚内に列車で旅立ちました。

稚内での一日目は零下十五度くらいの猛吹雪の日でした。

一メートル先がやっと見えるような天候で、手はこごえ、足は凍りつくようになり、五百メートルも歩くと手足の感覚がなくなり、とてもセールスどころではありませんでした。

そのうえ、誰一人として町には知っている人はいません。

これはとんでもない所に来てしまった、と私の心を一瞬後悔の念がよぎりました。

明日へ続く