佐藤康行の言葉をお伝えします。
夫婦で中学校の先生をしているWさん夫妻の話です。
まず奥さんが私のもとに相談に見えました。
一種の心身症のようなものにかかり、体が思うように動かないという状態で、学校もしばらく休んでいました。
私の事務所にも這うようにしていらしたのを覚えています。
彼女は、来るやいなや、とにかくご主人の悪口を並べ立てました。
うちの主人は暴力亭主だ、鬼だ、とさんざんないいようでした。
とにもかくにも「真我開発講座」を受講することになりました。
そして、彼女は心身ともに随分元気になりました。
しかし、まだまだご主人との関係が改善されたわけではなく、今度はご主人と彼女のお母さんと三人で再び私のもとへ訪ねて来たのです。
私は、 「ご主人のような腕っぷしの強い方が女性に暴力を振ったらだめじゃないですか」といいました。
すると意外な答えがご主人の口から返ってきたのです。
「先生、暴力を振るのはコイツですよ。クルマを運転していても後ろから頭をガツンと殴るし、夜中に足をもめといって、少しでも手が緩むと手をパチンとはたかれる。深夜に水道の蛇口を閉めてこいだの、玄関の戸締まりがまだだったのと、起こされるんですよ、毎晩のように」といううちに、私の目の前で夫婦で大声をあげてケンカをはじめたのです。
そこで今度は、奥さんとご主人の二人が受講することになりました。
そうしたら、奥さんのほうに、子供のころの地獄のような記憶が甦ってきたのでした。
まだ小さいころ、彼女のお父さんが愛人を家に連れてきて、毎晩その女と寝ていたのです。
彼女はふとんのなかで泣いているお母さんのそばで、声を殺して泣いていたのです。
彼女の潜在意識のなかにあるお父さんに対する憎しみが、ご主人に対して敵討ちをするという形であらわれていたのでした。
受講によって、その過去の業(カルマ)が完全に解かれ、真我、愛そのものの自分に気づき、一瞬にして、彼女のお父さんもご主人も許すことができたのです。
二人は抱き合い、大粒の涙を流して喜んでいました。
すべての問題が解決し、いまでは本当に夫婦仲良く暮らしているのです。