1349.家業を継ぐ生き方を本音でつかみとる

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。
以前、ある有名な企業の社長から、「佐藤先生、是非ウチの息子を頼みます」といって、私の主宰している講座に息子さんを参加させられたことがありました。

講座のなかで、「原点の心」という作文をみんなに書いてもらいます。三十歳になる息子さんの作文には、「私の首から下は入れ墨でびっしりです…」と書かれてあったのです。

彼は暴力団の世界にも足を入れており、刑務所暮らしも経験していたのでした。

この家庭では、父親が息子に会社を継がせようとして、子供のころから英才教育をしていたのです。

こうしなければならない、こうあらねばならない、というように教え続けてきたのでした。

父親は自分の息子に会社を継がせることだけを考えていたのです。

ところが彼にはそんなものには興味がなかったのです。

自分は自分の生き方をしたいという気持ちが強かったのです。

父親や家から逃げたい逃げたいという気持ちから、彼は暴走族になり、やがて暴力団にも入り、少年院や刑務所の世話になるようになったのです。

講座のなかで、彼のなかから本当の深い心が出てきて、いろんなことがわかってきました。

そして、やがて彼はわんわん泣き出したのです。

「おふくろ、親父、ゴメンな。おふくろが、『私の皮膚をあげたい、何とかこの子を助けてあげたい。こんな体じゃ一生棒に振ってしまう』といって、いろんな病院を駆けずりまわっていたのを知っていたんだよ」とオイオイ泣いていました。

「おふくろの愛がわかったよ。親父も本当はオレに立派になって欲しい、立派な後継者になって欲しいと思ってたんだよね」

講座から帰った後、彼はとにかく変わりました。

顔つきから態度から雰囲気から全部見違えるように変わったのです。

そしてお父さん自身が大変大きな気づきを得たのでした。

「オレは自分の損得だけを考えていた。オレは間違っていた。息子には息子の人生があり、向いていないのなら向いている方向に行ってもらえばよかったのだ。会社は息子に継がせなくても、他の人に継がせればいいのだ。息子の人生をダメにするところだった」といって、本当に反省をされたのでした。

家業の発展より、息子さんの人生を優先して考えなければならないのです。