佐藤康行の言葉をお伝えします。
通常、未来は変えられるが、過去は変えられないと思っています。
しかし、過去さえ変えることができるのです。
ある日、ある五十代の女性が、私の前著を読んで相談にやってきました。
別段、不自由な生活をしているわけでも、特に表立った問題があるわけでもないのですが、なぜかどうしても精神的な満足や、やすらぎを得ることができないでいたのです。
彼女と会話をするなかで、一番深くに眠っていた彼女の心の傷が、その原因になっていることがわかりました。
それは、一つには、高校生のときに強姦され、周りからも白い目で見られてきたという過去を、ずっと自分一人の心のなかに引きずっていたということ、もう一つは、幼いころにお母さんを亡くしており、母の愛を十分に受けられずに、満たされない心があったということでした。
自分の心が満たされない本当の原因がわかり、やがて、そんな辛い出来事にさえも感謝の気持ちが持てるようになり、彼女の心ははじめて癒されたのでした。
彼女は開放された感激と、あふれ出る喜びのあまり、大粒の涙をボロボロといつまでも流していました。
この女性の場合は、過去の辛い体験を感謝と喜びで受け止めることができたのです。
自分と同じような経験を持って苦しんでいる人たちを救ってあげることができるんだ、ということに気づいたのです。
いままでマイナスだと思っていた事実さえ、大変な財産だと心から思えるようになったのでした。
出来事自体はもちろん変えられませんが、そのことに対する自分の心の受け止め方が百八十度変わったのです。
そのことにより、過去を変えることに成功したのでした。
いまはとても満たされた毎日を過ごしているようです。
人生はオセロゲームと同じで、途中にどれだけ黒星があっても、いま白星を置けたら、すべてを白星にひっくりかえすことができるのです。
じつは私たちが体験する出来事は、すべて愛なのです。
私たちにいろんなことを気づかせるための愛なのです。
ですから、どんな出来事も私たちの受け止め方次第で愛に変えられるということなのです。
そのことに気づくことです。
そのためには、出来事の起こった原因を知り、そこから反省をしてみる。
次にその出来事を学びとして受け止められるようにすると、自然と感謝の気持ちがわいてくるのです。