佐藤康行のの言葉をお伝えします。著者生き方教室より
今、世間の関心を引いていることの一つに、子どものいじめ問題がある。
私はいじめる方もいじめられる方も、根本は同じと思う。いじめられる方は、いじめられるような考え方や特質を、自分でも知らないうちに引き寄せている。このことは子ども自身も、親も気づいていないようである。
一方、いじめる方は、人をいじめることによって優越感を抱いたり、自分が特別の存在であるかのように錯覚したりする。
いじめる方、いじめられる方、双方の心の根底に劣等感があるのだ。劣等感があるから弱いものをいじめて優越感に浸りたい。
それでなんとなく強くなったように偉くなったように錯覚しているだけなのである。それで自己満足に陥っているだけなのである。
いじめる方もいじめられる方も、もっと原点の深いところから親の考え方を正す方向に修正しないと、いじめ問題は解決しないのである。
今のいじめ問題は、過去の日本が大東亜共栄圏でアジア諸国を征服していった構図と全く変わりがない。マクロかミクロかの違いだけである。
いじめ問題を解決するには、まず第一に教育を根本から見直さなければならない。物事を見る観点を教え、視野の広さを養うのである。
自分を中心として考える「エゴ」は、自分の利益しか考えない狭い考えである。エゴは自分を愛する“愛”でもある。エゴがないと、人間は生きていけない。
ただ、エゴは非常に狭い範囲のものしか愛さないのが問題である。自分だけでなく、隣の人をも愛するようにする。周りの人、会社、地域社会、日本、世界へと愛を拡大していけば、他人と自分とが一体であると認識できるはずである。
「愛」イコール「一体」であるといってもよいのかもしれない。
現在は他人と自分との分離感があるから、いじめをはじめとする深刻な問題が起こるのである。
「他人と自分とは一体である」との教育を子どものころから徹底的に行えばいじめそのものの存在も消えていかざるを得ないと思う。
子どものころに、自分が体験したことは大人になってからも、その影響を受ける。
子どものとき、同級生をいじめたり、いじめられたりすると、そのときのマイナスの要素が心に染みついて、大人になってからの自分の行動や心理状態に強い影響を及ぼす。
ここで紹介する手紙の差し出し人もまさに、子どものころの体験が心に影を落としたケースである。
子どものときに受けた心の傷が三十代になってもなかなか抜けきらないで、自分を変えられないで苦しんでおられた方である。
ところが、「本当の自分」を体感されてから、考え方が激変した。心の一番奥にある魂を曇らせていたものが、きれいになったのである。
幼いころの心の傷が原因で歪んだ心が、瞬時にして霧が晴れるようにすっきりしたのである。
では、ここで子どものときのマイナスの要素を「2日間の研修」での「本当の自分」の体感をきっかけにして、見事に立ち直ったかたの手紙を紹介する。
前略――――
佐藤先生、スタッフのみなさま。
先日は「2日間の研修」でご指導いただき、ほんとうにありがとうございました。
おかげさまで、研修を受ける前に比べて自分の考え方、実生活にかなりの変化がありましたので、ご報告したくペンをとりました。
まず研修を受ける前の私。
私は非常に厳格な家庭で育ち、一方的に道徳的な観念を押しつけ私を理解しようともしなかった両親に対し、心の中で憎しみを持っていました。
また、思春期のころ、クラスの女生徒に長期間無視されたことがあり、大人になっても緊張してうまく女性と付き合えず、悩んでいました。
そして、当時親友とも喧嘩別れしたり裏切られたりしたことも重なり、孤独な状況に陥り、人間不信と自分自身に対する嫌悪感で私にとって十代二十代はとても辛いものでした。
そのため、今まで様々な宗教、心理学、精神世界の本を読みあさり、また催眠術、自己啓発セミナー、瞑想などにも取り組み、なんとかこの暗い部分を変えようとしてきました。
でも、本を読んだりセミナーを受けた直後は気分が高揚するのですが、一週間二週間と経つうちにだんだん薄れ、再びネガティブな自分に戻っていく、ということを繰り返していました。
しかし、2日間の研修を受けてから一か月になるのですが、毎日努力しなくても自然にポジティブに考え、行動している自分に驚いています。
やはり、一番大切なのは愛があふれる家庭を築くことだと自覚し、真剣に結婚を考えました。
いろいろなかたに紹介してくださるようにお願いして、幸せな家庭のイメージを毎日描いています。
また、治療の仕事のほうもここしばらくは忙しくなり、患者さんの治り具合も不思議に良いようです。
以前は仕事でよく体調を崩していたのですが、今は健康で楽しく過ごしています。
ほんとうの自分を見るようにすると、いろいろな気づきがあり、仕事での新しい発見があるのだと思います。
今は心から両親に感謝することができ、辛かったことも私の成長のために不可欠だったのだということに気づきました。
これからの人生も多くの出来事に遭遇すると思いますが、すべては愛でできているのですから、悪いことなどない、と、受け取りながら生きていきたいと思います。
ありがとうございました。
先生、スタッフのみなさま、更にご活躍され、物事の真理を世の中に広げてください。
また、お会いできる日を楽しみにしています。
酒井具視(仮名)