1748.過去を背負ってきた山本剛史さんは語る4/5

真我日記

写真はステーキとサラダです。ガッツリ栄養つけます。
佐藤先生の言葉をお伝えします。著書過去は自由に変えられるより
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昨日からの続きです。
そして、次第にお互いが異性として意識するようになっていきました。

私のカウンセリングで幸せになる気持ちになった剛史さんは、さゆりさんを度々食事に誘いました。さゆりさんもそれに応え、二人は徐々に親しくなり、やがてお付き合いが始まったのです。

剛史さんにとって、実に15年ぶりにお付き合いする女性です。

もともと自立していて、一人で生きていく力を持っているさゆりさんは、剛史さんにきつい言葉をぶつける場面も何度かありました。

例えばデートの際、「何でも好きなものを注文してください」という剛史さんに対し「男だったら自分で決めて!」と非難したこともあるそうです。

そんな気の強いさゆりさんのことを、「そうだね、ごめんね」といつも笑顔でやんわりと受け止める剛史さん。

さゆりさんは、うわべだけではなく、本当に心が優しく許容してくれる人と感じるようになり、惹かれていきました。

さゆりさんは「亡くなった彼女を一途に思い続ける剛史さん。そんな気持ちを持った純粋な彼のことが大好きです」と言うのです。

故人とはいえ、他の女性を思っている男性を普通は好きにはなりません。

でも、さゆりさんは「別にそんなことは気にならない。私が素敵と感じたんだから、変じゃないわ」とあっさり言ってのけるような稀け有うな女性でした。

この言葉がなかったら、付き合うことはなかっただろう、と剛史さんは言います。

美里さんを失った後の剛史さんは、喪失感と罪の意識のせいで、せっかく開いた心が再び内側に閉じ、孤独な人生が始まりました。

他の女性と幸せになることなど論外だし、むしろ不幸でいることが彼女への弔いと罪滅ぼしになると思っていました。

事実、15年という月日が経っても剛史さんの心から亡くなった美里さんが消えることはありませんでした。

たとえ目の前に素敵な女性が現れても、心は動きません。死んだ彼女以上の人は現れっこないし、仮にいたとしても彼女を裏切ることはない。

そんな思いで、40歳を過ぎるまで過ごしたのです。

ただただ、仕事に没頭することだけが悲しみを紛らわせてくれていたのです。

信じられないことに、そんな自分を、そのまま愛してくれる女性が現れたのです。

以前の彼女を忘れず、心に思い続けている男を「いい」と言ってくれるのです。

そんなさゆりさんが現れたのは、剛史さんが頑なな心を解いて、自分が「他の女性と幸せになってもいいんだ」と気づいて、すぐのことです。

偶然というには、あまりにも絶妙のタイミングだと思いませんか?

彼の心の準備が出来たと同時に、必要な女性が現れたのです。

剛史さんは、奇跡だとさえ言っています。

それから間もなく山本剛史さんとさゆりさんは、揃って私の事務所を訪ねてくれました。

明るい表情の二人から「佐藤先生。私達、結婚することにしました」と報告を受けました。最終的に、さゆりさんから逆プロポーズをしたそうです。

「そりゃ、凄い! 素敵なことです」

私は、本当に自分のことのように嬉しく思いました。

そして、カウンセリングの時にやるように、静かに瞑想する時間を設けました。

私が、二人に目を閉じるように言った数分後のことでしょうか。

思いがけないことが起こりました。

さゆりさんの肩が震え出し、急にわっと泣き崩れました。

何が起こったのか、と戸惑っている剛史さんですが、さゆりさんは、感動のあまりに泣いていたのです。

溢れる涙が彼女の頬を濡らし、泣きはらし続けました。

それは、さゆりさんがある人のメッセージを直感したからです。なんと驚くことに、美里さんの声がインスピレーションのように、さゆりさんに感じられたのです。

その声はこう言いました。

「さゆりさん。剛史さんと結婚してくれて、本当にありがとう。さゆりさんに、心から感謝します」

さゆりさんには、そのメッセージの主が誰なのか、すぐに分かりました。一度も会ったこともなければ見たこともない、美里さんだったのです。

「美里さん……! 会いに来てくれたのね」

美里さんは続けました。

「さゆりさん。彼を心から愛してくれて、嬉しいわ。剛史さんも心から愛せる人にめぐり会えて、本当に良かった!」

さゆりさんは、溢れる感動で心と体が震え、ただただ泣くしかありませんでした。

美里さんはなおも伝えます。

「これで私は、二人の愛の中で永遠にずっと生きていけるわ。二人が一つになってくれたから、私は永遠の生命を貰ったのよ。本当にありがとう」

さゆりさんの手をしっかり握っていた剛史さんの目からも、ハラハラと涙がこぼれました。

私はこの日の彼らの美しい光景を、今でも昨日のことのように覚えています。

そして、これは人間が求めている究極の愛の姿だと思いました