佐藤先生の言葉をお伝えします。著者幸せな結婚の法則より
昨日の続きとなります。
さっそく加奈子さんには「強さと弱さのワーク」を実践してもらうことにしました。
すると、このような要素が洗い出されてきたのです。
●妻は感情豊か・夫は冷静
●妻は家事が得意・夫は家事ができない
●妻は悲観的・夫は楽観的
●妻は短期・夫は気が長い
●妻はおしゃべり・夫は言葉が少ない
●妻は打たれ弱い・夫は打たれ強い
●妻はアウトドア派・夫はインドア派
●妻は人の世話が好き・夫は人の世話が嫌い
●妻はおせっかい・夫は無関心
●妻は明るい・夫は暗い
……とこのように、ほぼすべての項目について妻と夫のパーソナリティは真逆でした。
私は、加奈子さんにこう言いました。
「お二人の性格は見事なまでに表裏一体で、お互いをカバーするには最高のカップルです。
真逆な性格だから摩擦やストレスも大きいわけですが、そのぶん学びの量は多いのですよ。
もし加奈子さんがご主人と別れて、自分との相性がぴったり合う人と再婚したとしても、たぶん物足りなさを覚えるでしょう」
加奈子さんはこれまで「私は夫から愛されていない。都合のいい家政婦のように扱われている」との被害者意識を持っているようでした。
そこで私は、「ありのままのご主人を受け入れることで、夫婦の距離はグッと縮まるはずですよ」とアドバイスすると、思い出したように話しはじめたのです。
「たしかに夫は愛想のない人だけど、遊びもせずに一生懸命働いてくれています。
そういう意味では、まじめで一途な人なんですね。
わき目もふらずに仕事をしているから、家に帰るとヘトヘトに疲れて会話もできないんだと思います。
私と息子が安心して生活していられるのも、夫がいてくれているからなんですね。
これからはもっと夫の立場になって考えたいと思います」
加奈子さんの心に、夫への感謝の気持ちがわずかながら湧きあがってきた瞬間でした。
15年ものあいだ、家族のために働き続けてくれた夫。
息子がこうしてちゃんと育ったのも、夫が見守ってくれていたおかげだとわかったのです。
加奈子さんは、こう言葉を続けました。
「私は、妻としての自分に自信がなかったのかもしれません。
でも私の心が変わることで夫婦や家族の関係が変わることに、いま気づきました」
この世界には、表と裏、内側と外側、幸と不幸、プラスとマイナスといった二つの要素が一つに融合してワンセットで存在しています。
男と女もしかり。
男に生まれた人はけっして女にはなれませんし、女に生まれた人はけっして男になれません。
すべてにおいて両極が存在するこの世界で、分離ではなく融合の道を歩むのであれば、日々の暮らしのなかで相手の中に自分を見つけ、自分の中に相手を見つけること。
その実践の場が家庭なのです。