佐藤康行の言葉をお伝えします。著者成功と幸福を呼ぶ言葉より
私は北海道の美唄の中学校を卒業後、十五才で上京して、定時制高校に通いながら、最初に社員食堂の皿洗いになりました。
毎日、毎日、一人で四百人分の皿を洗いました。
つらくてつらくてしかたがありませんでした。
仕事はつらいものだと感じていました。
そのつらい皿洗いが、あることをきっかけにして、大変おもしろくなりました。
皿洗いをする時に、腕時計を前に置いて、秒針を見ながら、一分間に何枚洗えるか挑戦したのです。
昨日より一枚多く洗えた、二枚多く洗えた、というように毎日皿洗いに挑戦していると、だんだん早く洗えるようになってきて、皿洗いという仕事がおもしろくなってきました。
皿洗いに興奮を覚えるようになってきました。
昨日より一枚でも多く洗ってやるぞ、と毎日挑戦していると、信じられないくらい早く洗えるようになりました。
いろいろな料理ができる先輩が、皿を洗ったら、私よりはるかに下手でした。
私の方が断然上手でした。
私は朝から晩まで皿洗いしかしていない自分に、コンプレックスを感じていましたが、このことをきっかけに、皿洗いが楽しくなったのです。
それから皿を待って、皿が溜まってから洗うようになりました。
その間、他の仕事をやろうということで、いろいろな仕事を覚える事ができました。
つらかった皿洗いがおもしろくなり、他の仕事も覚え、先輩からも認められるようになりました。
まさに一石二鳥でした。
私はこの時に、なるほど仕事は受け身でやるものではない、ということを体験から学びました。
どんな仕事も、自分から喜んでやれば、つらくともなんともないのです。
反対に、いやいや不平を言いながらすると、どんな仕事でもつらく感じるのです。
いやなつらい仕事ほど、自ら前向きに、積極的に向かってゲーム化すれば、その仕事は楽しくなるのです。
その仕事がつらいのではなく、つらいと思う気持ちがつらいのです。
私は、時計を置くことによって目標を持ち、つらかった皿洗いをゲームのようにして楽しむ事ができました。
受け身で不平不満の心でする仕事と、積極的に前向きな心構えで自発的にする仕事とでは、同じ内容の仕事をしても、結果として大きな差が出ます。
どんな仕事でも、その仕事の中に、目標を持って、ゲームのようにしてしまうのです。
そうすれば、自分から仕事に向かっていくことができます。
どんな仕事でも、その仕事自体には、つらいとか楽とかはないのです。
その仕事に向かう心構えが全てなのです。