1384.運命を好転させた一言

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者生き方教室より
以前、愛媛県で講演を行った時、その会場の一番後ろに、車イスに座りながら熱心に話を聞いている一人の青年がいた。

私はその青年と、十分ほど話をし、東京に帰って来た。そして、数日後その青年から、一通の手紙をいただいた。

「ありがとうございました」

手紙の冒頭にこう書かれていた。

以下内容をご紹介する。

「私は大人になってから、交通事故で車椅子生活になりました。
残りの人生はずっと車椅子ですよ、と医者からいわれたときに目の前が真っ暗になりました。

なんで自分だけがと自分の人生をのろいました。

そして何回も自殺を考えました。何度死のうと思ったかわかりません。

これから一生車椅子の生活と思ったら絶望しました。

私にはいろいろやりたいことがあったからです。

でも、それらの希望はすべて霧のように消えていきました。

いろいろな方が声をかけてくれるけど、一つの励みにもなりませんでした。

かえって私を馬鹿にしているのではないかと思ったこともあります。

でも、あの講演会で佐藤さんは私のところに寄ってきて、車椅子のかっこうの私を指さし突然こういわれました。

『あなたは素晴らしい財産を持っているじゃないか。』

その時私はびっくりしました。

何が財産だと思いました。あなたがその車椅子のかっこうは財産だよ、と佐藤さんは確かにいわれました。

『そうじゃないか。この会場に三百人いるけど、あなたと同じかっこうの人は一人もいないじゃないか。

しかし、世の中にはあなたと同じかっこうをしている人がたくさんいるんだよ。

あなたが今、私の話を聞いて物事をプラスにとらえる発想をしたならば、今、この瞬間からその車イスのかっこうが財産に変わるのだよ。

なぜなら、世の中で天才といわれている人は、あまりいろいろなことをしないからです。
王貞治さんは野球のボールをただ遠くへ飛ばすことだけを何十年も考えて実行してあれだけ世界的に有名なバッターになったのです。

そのかわり政治や経済のことを何も知らなかったかもしれません。

しかし野球のことだけを考え続けていたからこそ、世界の王といわれる人物になったのです。

ホーキング博士を見なさい。

体が不自由だからあれほどの大科学者になったのかもしれないでしょう。

健康であるために、いろいろやりすぎて中途半端な人生を送っている人もいるのです。

あなたもこの車椅子のかっこうを逆にチャンスと思って、一つのことに専念することを探しなさい。

徹底的にそれに専念して、それに生涯をかけなさい。そうすれば、あなたはだれにも負けない天才になれる。

健康な人が絶対味わうことのできない深い人生を、味わうことができるのです』

佐藤さんがこうおっしゃったとき、私はまさかこの体が財産などとは思いませんでした。
驚きましたし、びっくりしました。

私はそれ以来毎日、佐藤さんの言葉を考えていました。私は佐藤さんがおっしゃったこの車椅子の体を生かして、私は絶対に天才になります」

私はこの青年の手紙を見て、大変感動した。

私のたった一言で、ここまで前向きな考え方に変わったのだ。

この手紙が来てから三年の歳月が過ぎたころ、この青年からまた手紙が届いた。これがその文面である。

佐藤康行先生

謹啓―――

梅雨のうっとうしい時候です。御無沙汰しております。

年前、四国の愛媛の伊予三島市で先生がご講演くださりましたおり、車椅子で参加させていただいた者でございます。

あのとき、佐藤先生は私の姿を見るなり「君は素晴らしい財産を持っているね。

こんな財産誰も持っていないよ」とおっしゃってくれました。

私は目から鱗が落ちました。

あの日以来、私は誰も持っていない特別ないいものを持っているんだという気持ちを常に持てるようになり、せっかく気づかせてくださった長所だから何とかして生かさなければ、と考えるようになりました。

そしてもう一つ、佐藤先生はあの日、「心からわくわくすることをしなさい」ともおっしゃいました。

私は事故に遭ったとき、大学工学部の学生でした。元々エンジニアの道に進みたいと思い、大学に通っていましたが、不自由な身体となり、諦めていました。

自分が本当にやりたいと考えていたのは理工系の仕事であります。

何とかどうにかしてよい仕事はないものかと探していましたら、勉強会で知り合った方からのご紹介で設計をするためのコンピュータソフトを開発販売している会社の社長さんと出会うことができました。

図面を描くという作業は現在ではコンピュータがしてくれます。

コンピュータの操作は不自由な体でもできるのです。

私はその社長がデモしてくださるのを見て、わくわくしました。

「これだ!」と思いました。

自分のしたいことと、自分にできることがあったのです。

その社長は、「君の目を見ていたら、成功できるということがわかった。全面的にバックアップするからやってみろ」とおっしゃってくださり、仕事をさせてもらえるようになりました。

一つ目標が達成しました。

今では少し信用もできたのか、仕事の量も増えてきました。

やはり、人よりも何倍もの時間がかかるので、土曜日曜も関係なく仕事をしております。
不自由を言い訳にしていたくありませんから、人の三倍努力すればなんとか一人前のことはできます。

少しオーバーワーク気味で疲れますが、佐藤先生、どんなにしんどくても楽しくて楽しくてしかたがないのです。

いつの間にか、どんなことでも楽しみに変えてしまうフィルターを身に付けたようです。
佐藤先生のお言葉で目から鱗が落ち、それからというものは気味が悪いくらい人生がうまく前進しております。

佐藤先生の一言が私にとりましてまさしく「成功と幸福を呼ぶ言葉」となりました。

本当にありがとうございました。

文末になりましたが、以前、テレビ番組で立ち食いステーキの特集が放映されており、佐藤先生が御活躍しておられるところを拝見しました。

不快な時候ですが、くれぐれもご健康にはご留意され、ご活躍ください。

ますますのご発展を心からお祈り申し上げます。

桂誠治

乱筆、お許しください。

現在の状況はどうであれ、嘆いてみても始まらない。

何の解決にもならないのである。

それどころか、ますます事態を悪くするだけである。

そうではなくて、天から与えられた才能に気づき、そこを出発点として考える。

ここからどうするか、が生きていくうえで一番重要なことなのである。

いかかだろうか。

数年前にたった一言いわれた言葉をずっと考え、実行し続けられる人は、果たしてどのくらいいるだろうか。

百人いて、何人の人ができるだろうか。

逆に健康な人にはわからない場合が多い。

私の一言を三年間実行して、心から嬉しい喜びの人生を送っていると書かれているのだ。
自殺を考え、神も仏もいるものか、と思い人生を呪っていた人が、本当に喜び一杯の人生を送っている、と手紙に書いてある。

あなたには、これをご自身の事としてお考えいただきたい。

この青年にとっては車椅子というのは最大のプレゼントといえるのだ。

変わらない人は、何をいっても、何年かかっても変わらないし、この青年のようにたった一言で人生が変わる人もいるのだ。

まさに地獄から天国になったのである。受ける姿勢がいかに大切かがわかる。

出会いを生かせる人、出会いを生かせない人、それによってあなたの人生に雲泥の差が出てくるのである。

人生をオセロゲームに例えると、人は生まれた時、すでに白星ですから、途中どんなに黒星があったとしても、今の心を最高にすればパタパタパタと全て白星に変わっていくのだ。

何ごともすべて私たちの今の心が作っていると自覚すると、人生は変わるのである。