佐藤康行の言葉をお伝えします。
私たちは地位とか名誉とかいったときに、それをどのようにとらえているでしょうか?
大会社の役員になったら地位が高い、お医者さんや弁護士さんは社会的に地位が高い、オリンピックに出場できたら名誉がある、というように一般的には思っています。
しかし、そろそろそういった価値観も変わってこなければならない時代です。
社長や役員といった地位に価値があると思う人にとっては、出世して自分も、と思うでしょうが、価値を感じない人にとっては、まるで価値のないものになってしまいます。
地位も名誉も、その人それぞれの価値観次第なのです。
地位や名誉が絶対的に価値があった時代は、固体的な時代です。
例えば戦争をするときの軍隊が典型的な例です。
軍全体を一つの固体にして、統制をする。
だから、司令長官から二等兵までズラリと縦ピラミッド型の組織を作り、一つでも上の役職が絶対的に偉い。
そのようにしたほうが、戦争に勝つためには都合がよかったのです。
会社も競争に勝つためには、そういう軍隊的な組織をつくった方がよい場合もあります。
しかしこれからは、勝つも負けるもない全体の時代に入っていきます。
調和の時代です。
そうすると、地位や役職というものの絶対性がなくなってきます。
単なる一つの役割に過ぎないということです。
もちろん大会社の社長は、それなりの強いリーダーシップをもって大きな役割を全うしなければならない。
しかし同時に、誰もが同じように、それぞれの役割を果たすということに価値があるのです。
演劇を上演するにしても、主役だけでは成り立たないのです。
脇役もいれば、監督や脚本家や演出家、さらには衣装係、メイク、大道具とじつに様々な役割が必要になります。
そのうち誰が欠けてもやはり不十分なのです。
地位や名誉というのは、これからは絶対的なものではなくなっていくでしょう。
それよりもむしろ、その人なりの天から与えられた役割を十分に生ききれた人こそ名誉ある人という価値観になっていくのです。
その上でたまたま名誉ある賞を受賞したり、大会社の社長になったとしたら、その人たちは、自分一人の力ではなく、先祖の血筋や周りの人たちの支えによって、そういう役割を与えてもらっているのだと、自然と謙虚な気持ちになれるはずなのです。