佐藤康行の言葉をお伝えします。
会社の業績が悪化したため、たくさんの社員が解雇されているというニュースを頻繁に聞きます。
そんななかで、いい人ほど早く会社からリストラにあって、残っていくのは要領がいい人、ズル賢い人ばかりで本当に矛盾を感じる、という話をよく聞きます。
先日もある外食産業の本部で、事務員として働いている三十代の女性からこんな話を聞かされました。
「どうもよく見ていると、会社のなかで早くリストラにあっている人は、まじめにコツコツ努力している地道な人で、逆に会社に残って出世している人は、上司にゴマをすったり、おべっかを使ったりしながら、見えないところでは適当にやっている人ばかりなんですよ。
こんな世界があっていいのでしょうか?」 本当に納得がいかないという様子でした。
そして後で聞いた話では、その女性は結局その会社にいるのが本当にいやになり、自分から辞めていった、ということでした。
これからは会社の経営者や人事を決定するような重要な立場にいる人ほど、人間的な成長が本当に必要になってくるのです。
特に、どのような心の状態で人事のような重要な決定を下すのかは、とても大切なことです。
どういうことかというと、心は多重構造になっており、重要な立場にいる人ほど、一番深い心でものごとを考えたり判断をしなければならない、ということです。
心の多重構造とは、表面的なところから順番に、理性、感情、感覚、本能、真我というようにだんだん深い部分になっているのです。
好き嫌いという感情や、自分の都合という浅い理性で人事を決めたりしているような経営者や管理者がいるような会社は、これからの厳しい時代を生き抜くことはできないでしょう。
もっと深い部分、真我と私が呼んでいるような深い心、そこで判断できるような人間にならなければいけないのです。
その心とは、社会との調和の心です。
自分の好き嫌いや都合ではなく、相手の立場にたったらどうなのか、社会全体にとってはどうなのか、というように考えられる心です。
そういった心を持てない人が管理職にいるような会社は、これからは会社のほうが、社会からリストラされる運命にあるといえます。