803.本音を言う法則

佐藤康行の言葉をお伝えします。

100時間の「想像」も、一瞬の「行動」にはかないません。

悩みは「想像」から生まれるのですから、それを「想像」では解決できないのです。

もちろん現実に対する見方を変えることは非常に重要です。

しかし、実際に「行動」して、現実に対してはたらきかけることはもっと重要です。結局のところ「行動」に尽きるのです。

悩みを解決する上で、大切なことは、「想像」をあれこれして、悩みを膨らませるようなことはせず、目の前の事実、現実を味わうということです。

ここに一杯のお茶があります。

まだあなたは、そのお茶を飲んでいません。

そのお茶を見て「このお茶は、どんな味だろうな?」といくら考えてもわかりません。

飲んだときに、はじめて味がわかります。

飲む前から「きっとこんな味かなぁ」と想像しても、そのお茶の味は「こんな味」ではありません。

飲むという「行動」をとった瞬間に、想像と現実の差が明らかになります。

想像で大きく膨らんだ悩みでも、行動して手を打つと、カンタンに解決することがほとんどです。

では、実際にどういう行動をとればよいのか。

どういう行動が効果的なのか。

そんな悩み解決に効果的な行動のひとつが、「本音を言う」ということです。

相手に言いたいことがあるならば、思い切って言ってみた方がいいです。

本音をぶつけたほうがいい。

これが「本音を言う法則」です。

例えば仕事のことで悩んでいるとします。

「この会社にいて本当に良いのだろうか?」

「この仕事は自分にあっているのだろうか?」

と悩みながら仕事をしている。

この場合、まず先にあげた「腹をくくる」。

そして、自分の意見を出してみればよいのです。

遠慮しながら中途半端にやっていても、なかなかわかりません。

実際に、自分の意見を言ってみないことにはわからないのです。

腹をくくって意見を出せば、上司や周りの人からボロボロに言われるか、たいした奴だと認められるかのどちらか答えが出ます。

その会社にいて、その仕事をしていて良いか悪いか。

自分の力が出せるか出せないか。

それが、ハッキリ見えてきます。

「腹をくくって」「本音を言う」。そのとき道がひらけます。

このように、「本音を言う法則」を使えば、答えがゼロか百かはっきりします。

答えが出れば、悩みは解決です。

ただし、ここで、「本音を言う」というのは、相手を傷つけるということではありません。

言いたいことを思い切ってぶつけるということは、中傷することとは違います。

例えば、あなたの部下がお茶を入れてくれたとします。

しかし、以前に比べてお茶がまずかった。

そのときに、「このお茶のいれ方はなんだ!」

続けて「だいたいお前は親の躾(しつけ)が悪いんだ!日頃の態度が悪いんだ!」

と言ってしまったとします。

この場合は、「お茶のいれ方」だけを注意すればすむことなのに、そこからエスカレートして相手への不平不満をまくしたてています。

本当はお茶の話だけで終わらないといけません。

おいしいお茶を提供してもらうことが、部下に注意することの目的です。

だから、「この前は美味しかったんだけど、どうしたの?」と聞けば良いのです。
この点が大切です。

「相手に本音を伝えることの目的」を自分の中ではっきりさせてから、「言いたいことを率直に言う」ということです。

ここを間違えてしまうと、自分の感情を訴えるだけのわがままな人間です。

「本音を言う」べきところで、単なる感情論に走ってしまうと、自他共に傷つけるだけになってしまいます。

この点にさえ気をつければ、「本音を言う法則」は悩み解決の特効薬です。

本音を言ってみれば、いいのです。

言わぬが花ではなく、「言うが花」です。

そして、この「本音を言う法則」は仕事だけでなく、あらゆる人間関係に使えます。

では、身近で一番難しい人間関係を例に挙げましょう。

夫婦関係です。

夫婦の問題で、私のところに相談に来る人がたくさんいます。

私は「離婚するか、徹底的に100%尽くすか、どちらか一つです」とよく答えます。

「徹底的に100%尽くす」と腹をくくったならば、今までの自分を全て捨てることです。

自分の趣味も大事なものも、相手のために全て捨てるのです。

100%相手に尽くす。

そして、離婚してもよいと腹をくくったならば、中途半端にしないで本音を相手に言ってみてください。

「本音を言う法則」を使うのです。

ケンカになってもかまいません。

いい人ぶって本音を出さないよりも、本音を出してケンカになった方がよいのです。

私は、ケンカを勧めているわけではありません。

自分の思うまま、相手を傷つけることを勧めているわけでもありません。

選択肢は、「結婚を維持」するのか、「離婚する」のかの二つに一つなのだから、本音を伝えあって、答えを早く出したほうがいいということです。

一番良くないのは、そのまま放置しておくことなのです。

よく道徳的な教えでは、「離婚は悪いものです。仲良くしなさい」と説かれています。

しかし、仲良くできたら良いことは、誰だって百も承知なのです。

表面上でいくら仲良くしても、本音の部分で調和できていないのであればそれは不調和です。

見せかけの調和にすぎません。表面上の調和と中身の調和、どちらが大切なのでしょうか。

もちろん中身の調和の方が大切です。

表面上の調和は、ただ周りの目を気にしているにすぎませんから、本質的な解決にはなっていません。

夫婦なら、今後ずっと死ぬまでお付き合いすることになります。

それならば、自分の中に不満があるということを、相手に知ってもらった方がよいと思いませんか。

相手の不満をお互いに認識していれば、そこから学ぶことができます。

表面上だけで仲良くしていたら、「こんなはずじゃなかった!」ということにもなりかねません。

自分の中にある不満を相手に言ってみることで、価値観が全く違うことが明らかになる場合もあるのです。

早く別れた方がよい場合もあります。

「本音を言う」。

するとまもなく答えが出る。

これが「本音の法則」の構造です。

あなたが本心を言葉にして出せば、あなたにとって偽りのない答えが与えられるのです。

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