佐藤康行の言葉をお伝えします。著者「悩み解決明快答」より
悩みの原因の大部分は、「不安」や「恐怖」です。
この「不安」や「恐怖」は、「想像」から生まれます。
将来を「ああなるか」「それとも、こうなるか」と想像する。
そうして想像したものが心にいつまでも残っている。
ここから、「不安」や「恐怖」が生まれます。
「不安」や「恐怖」があなたの心を占めるようになると、もうあなたは悩める人です。
「こうしたら、こうなってしまう。ああしたら、ああなってしまう」という不安で胸がいっぱいになる。
すると、悪い結果ばかりが頭のなかを駆け巡り、身動きがとれなくなってしまうのです。
「不安」と「恐怖」は、あらゆる悩みの元凶といえます。
この悩みの元凶、「不安」と「恐怖」を断ち切る法則をご紹介しましょう。
それは、「腹をくくる法則」です。
私の言う「腹をくくる」とは、ただ覚悟するということではありません。
「腹をくくる」とは、「あなたが考えうる最悪の状況を想像して、その状況を心の中で一回受け入れてしまう」ということです。
たとえば、お金の悩みを抱えているときは、次のように「腹をくくる」のです。
「人生のなかで、一度くらいホームレスになったっていいじゃないか。万が一ホームレスになったとしても、その体験によって人間的な幅ができるだろう。ひょっとするとその体験を本にして出版できるかもしれないぞ」と。
一回この「ホームレスになる」という経済的には最悪の状況を受け入れてしまう。
すると、借金や失業を心配したり、不安になったりする必要はなくなってしまいます。
「最悪の状況を受け入れるなんて無理だよ」と思われた方もいるでしょう。
たしかにそうかもしれません。
それでも、ぜひやってみてください。
完全に受け入れるまでは難しくても、最悪の状況を想像して、それを心の片隅にしまっておく。
すると、それ以上は不安が勝手に膨らんでいかないのです。それだけでも、ずいぶん心が軽くなるはずです。
将来に対する不安や恐怖がなくなれば、悩みはなくなります。
悩みとは想像の世界にのみ存在するものなのです。
ではさらに、不安や恐怖の原因は何でしょうか。
それは、「執着心」です。
たとえば、お金を失うことを恐れる人は、お金に執着している人です。
もちろん、お金は生活していくうえで必要なものですから、執着してかまいません。
でも、執着心があまりに大きいと、それが恐怖となり、恐怖でがんじがらめになってしまいます。
逆に、執着心がなければ、不安や恐怖はなくなり、悩みも消えます。
では、どうやって執着心をなくすのでしょうか。
余計な執着心をなくす一番早い方法は、執着の対象を捨てるということです。
執着の対象を捨てれば、それなしでも平気だということが分かります。
しかし、執着心をなくすということは、とても困難なことです。
というのは、執着心は生物としての本能から生じるものだからです。
でも、本能の延長だからといって、執着心のすべてが生きていくうえで役に立つというわけではありません。
むしろ、執着心の多くは、あなたが快適に生きるのを邪魔しています。
それは、本能が変化して執着心になるとき、私たちは、生きていくのに必要なものを固定的にとらえてしまうからです。
たとえば、私たちが生活するのに、お金が必要です。これは、社会的には正しいです。
しかし、必ずしも真実ではありません。
南の島で食べ物を森で採集して暮らせば、お金なしで生きていけます。
食べ物は必要です。でもお金は絶対何が何でも必要というわけではありません。にもかかわらず、私たちは、生きていくにはお金が必要だと固定的にとらえてしまう。
自分にとっての必要を固定化して考えてしまう。
この固定化した考えが、不要な執着心のもとです。
だから、「捨てる」という発想が重要になってきます。
曹洞宗の開祖、道元は「放てば手に満てり」と言いました。
モノをつかんでいれば、そのつかんでいるものだけが、自分のものです。
でも、つかんだ手を離せば、その瞬間宇宙が自分のものになるということです。
宇宙が自分のものになれば、まさに自由自在です。
究極的には、「腹をくくる」ということは、不要な執着心を捨てるということです。
完全に捨てることは難しいかもしれない。
でも、とりあえず、「腹をくくる法則」を使ってみてください。
つまり「あなたが考えうる最悪の状況を想像して、その状況を心の中で一回受け入れてしまう」ということです。
あなたの不安や恐怖は確実にやわらぐはずです。
不安や恐怖がなくなってくれば、悩みの暗いエネルギーが消えていきます。そうすると、目の前の事実、現実を冷静に見ることができるようになります。
そして、そこから問題解決のための次の行動につなげていくのです。
「腹をくくる」ことは、あなたが悩みに振り回されず、しっかりと悩みに取り組むためには重要な前提でもあります。
まず「腹をくくる」。そして、行動してください。