1521.相手の立場になってみる

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者「悩み解決明快答」より
「あの人ったら、まったくわかっていないんだよなぁ…」

思わず、そんな捨てゼリフのひとつやふたつを吐きたくなることは、誰にでもあるものです。

「アイツはわかっていない」、ということは、裏を返せば、「自分が相手をわかっていない」ということです。

「夫の気持ちが、わからない」
「一体どうしてほしいのか、子どものことがわからない」
「お客さんは何を求めているのか、わからない」

このような思いが悩みになっているときは、立場を代えてみることが効果的です。

「反対から見る」のです。

「反対から見る」ことが、物事を正確に見る一番の秘訣なのです。

鏡を見ないで化粧をする勇気のある女性はいるでしょうか?
ちょっとゾッとしますね(笑)

鏡で自分の顔を反対から見ることで、化粧もきれいにできるのです。

人間関係の秘訣は、全てここにあるといっても過言ではありません。

心理学で「役割演技法」というものがあります。

英語では「ロールプレイング」と言います。

この方法は、企業の研修や、営業トレーニングで多く使用されていますが、もとは、ルーマニア生まれの精神科医、J.L.モレノが作ったサイコドラマ(心理劇)を発展させた、心理学的な訓練技法です。

これは、相手の立場を理解し、それまでできなかった考え方や行動を身につけることが目的です。

「役割演技法」では、本人があたかも相手の立場にいるかのように演技させます。

すると本人は、相手の立場を理解し態度を変化させます。

例えば、遅刻を繰り返す部下に、それを注意する上司の役割を演じさせます。

すると部下は自分を注意する上司の立場、気持ちを理解し遅刻をなくします。

この「役割演技法」は、立場を代えることの効用を、非常にうまく利用した訓練技法といえます。

立場を代えるというのは、「相手の立場になる」ということです。

相手と立場が反対になったことを考えてみて下さい。

立場を代えることによって、はじめて理解できるものがあります。

相手とうまくいかなかったとしても、ときには相手になりきってみることで、何を求めて何を知ればよいのかが理解できるのです。

では、「相手の立場」になる最も良い方法は何でしょうか。

この「相手の立場」ということは、よく言われることです。

しかし、私が伝えたいのは「相手の立場」を「自分の立場で想像する」といった、観念的なものではなく、本当に「相手になる」ということです。

想像するのではなく、実際の行動で感じるのです。

あなたが男性なら、一日だけでもいいから、毎日奥さんがやっていることをやってみてください。

子守り、掃除、洗濯、食事の準備…カンタンだろうと想像していても、実際やるとかなり骨が折れることがわかります。

あなたが奥さんなら、ご主人の仕事をやっている姿を見てみるのもよいと思います。

できれば何かの形で、お手伝いができたらさらに良い。

そうすれば、ご主人の中に新たな発見があるかもしれません。

「休みの日に家でゴロゴロしているけど、毎日仕事が大変なんだね」と思えるかもしれません。

お子さんをお持ちであれば、休みの日に、子供の学校に遊びに行って、子供の椅子に座ってみるのも良いかもしれません。

子供部屋で勉強してみたり、テレビゲームをやってみたりするのも良いでしょう。

お店をやっている人は、一度完全にお客さんになり切ってしまうのです。

それもできるだけ、わがままなお客さんになってみる。

経営者は常にお客さんであり続けることが必要なのです。

そのことによって、自分だったら、販売員さんに何をやってもらったら嬉しいのかがわかってきます。

新しい、発見があるのです。

あなたが望むことは、他の人が望むこと、ある程度は共通していることが多いのです。

会社の管理職で、部下との人間関係がうまくいっていないのであれば、部下の仕事を一日だけ引き受けてみる。

部下から疎まれ、信頼されなくなると当然、仕事が大変やりづらいものです。

人を動かせる人というのは、相手の立場になって考えられる人です。

そして相手の気持ちをわかってあげられる人です。

世の中で「先生」と呼ばれる方には、この法則が大変重要です。

学校の先生は、生徒の将来に大きな影響を与えます。

「何とか生徒たちを育てねば」と思われている先生もいるかもしれません。

しかし、生徒より勝っているのは知識量の点が主です。

知識は世の中で、既に答えが出ていることです。

先生はそれを教えているにすぎないのです。

ですから先生のような教える立場にたつ人は「自分だけが教えているのではない、生徒から教えていただいているのだ」という姿勢が大切です。

「先生は偉い」と錯覚してしまうからです。

錯覚に陥らないためにも、先生は時間を作って生徒の授業を受けてみると良いかもしれません。

生徒の素晴らしさを新たに発見できるかもしれません。

この「立場を変える法則」は何にでも当てはめられます。

大きなレベルで言えば、国同士にも当てはめられます。

相手国の立場にたてば、その国の事情をよく理解できます。

そうなれば戦争なんてなくなりますよ。

このように立場を代えることによって、普段は見えないたくさんのことが見えてくるのです。

一度自分とは反対の立場に身を置いてみるのです。

相手のことが理解できずに、それが悩みになっているときはこれをやってみてください。
物事の本質を見るために良いことなのです。