1320.天命を悟ってから人事を尽くせとは

真我日記

「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があります。

私は大自然の原理からいうと、この言葉は正確ではないととらえています。

当時三十二歳だったN・Cさんは、実業家として成功しようと、二十六歳で大企業を退職して以来、必死でいろんな事業に挑戦し続けてきました。

ところが結局いつまでたってもこれといった結果を出せずに、かなり、自信喪失気味でした。

それが私の講演を聞いたのをきっかけに、彼の人生は大きく変化していったのです。

その後三年ほど経ってから、私のところに訪ねてきた彼からこんな話を聞きました。

「先生の話を聞いてから、ボクの人生は随分変わりました。それまでは、まずは実業家として成功しようと、ひたすら努力してきたのですが、本当にそれがボク本来の天命なのだろうか、と考えるようになりました。自分が天から与えられた役割はひょっとしたら違うんじゃないかと。

そして、じっくり自分自身に自問自答をしているうちに、ボクの本来の役割は、人を癒したり、人を力づけたりすることだ、ということがわかったのです。いまはまだまだ半人前ですが、人材コンサルタント、あるいは心理カウンセラーとして、活躍できるようになりました。いまは本当に充実して仕事をしています」

私たちは、目先の仕事を最優先に考えてしまう傾向があります。

しかし、本当は、仕事の前に自分の人生があるのです。

何のためにこの世に生を受けて、何をやって死んでいくのかと。

「人事を尽くして天命を待て」とは、目をつぶって何かやりなさい、といっているのと同じなのです。

まず、天命を早く悟ることです。

そして、天命にそって人生なり仕事なりを歩んでいくことです。

ただめくらめっぽうでがんばってから、ハッと自分の天命と違うことに気がついたら、それまでの年月をムダにしてしまう可能性があります。

ほとんどの人が、自分の天命を知ろうともせず、「とりあえず」といって、目の前に与えられた仕事に没頭してしまいます。

そして、ときだけがたって、後から気づいても、もう燃え尽きてしまっていて、体力も気力もなくなってしまうのです。

出発する前に自分の天命や役割をはっきりと認識させることが何よりも大切なのです。

周りの環境を引き上げるか、引きずられ落されるかはまさにあなた次第なのです。