今日は月に一度のプロジェクトの発表の日だった。
昨日の夕方から何度も資料を直しては部長のところに持っていき、直しては持って行きを繰り返していた。
部長「違うだろう!ここは~で、~だと言っただろう。何度言ったらわかるんだ。本当にもう。早く直せ。時間がないぞ~!」
私「はい!わかりました!」
朝9時から発表だったので、始業時間からギリギリまでの時間を部長と資料を修正し続けた。
部長「出来たか~?行くぞ!」
私「はい。行きます!」
ついに9時を迎えた。
プロジェクトの成果を発表した。
たどたどしい私の説明を聞き終わった後に、社長や各部門の部長からも確認があった。しかし特に問題もなく私の発表は終了した。
明らかに部長の的確なアドバイスのおかげだった。
発表を終えて席に戻った私に部長が
部長「今日発表したことをまとめて、
このプロジェクトは※クローズです。
みんな集めて打ち合わせをして周知徹底するように。わかったか?」
(※クローズとは閉じるプロジェクトの終了を意味する。)
私「はい!わかりました!」
私は感慨深い思いになった。
部長との押し問答でプロジェクトが一歩も前に進まなくて苦しんだ日々や、情けない自分に悔しくて涙を流したことを思い出していた。
全ての経験は私にとって無駄ではなかったのだ。
最後まで部長は私の味方だった。
そのことにようやく気がついた。
私のプロジェクトリーダーとしての役目は長い長い年月を経て、ついに終焉を迎えようとしていた。
このことは何を意味しているか?
私はプロジェクトからも、部長からも、そして長く勤めた会社からも卒業できることを意味しているのである。
(第14話に続く)