佐藤康行の言葉をお伝えします。著者成功と幸福を呼ぶ言葉より
ホラを吹くなら大ボラを吹け。
これは単に口ばかりの嘘つきになれという意味ではありません。
他人にはホラに思われても、自己イメージを作るのには、大きな影響があるということなのです。
私が宝石のセールスをしていた時の話ですが、先輩が退職して会社がその後任として幹部候補募集を出したのです。
会社が、私の上司になる人を募集したのです。
私は当時二十三才の平社員でしたが、当時のお金で毎月二百万円前後の売上げを上げ、トップクラスのセールスマンでした。
この私がいるのに、一生懸命頑張っているのに、自分の上に立つ人間を募集する気なのかと腹を立てて、社長と専務に文句を言いに行きました。
「社長、専務、私はつきに一千万円売り上げる男なのですよ」
飛び込み訪問で宝石を一千万円売るということは、当時では信じられない金額だったのです。
何の根拠も計算もありませんでしたが、頭に血が上ってそう言ってしまったのです。
社長は「そうか、そうか」と笑っているだけでした。
社長と専務は単なるホラだと思っているようでしたが、私は大見栄を切ったからには、どうしても一千万円の売上げをやらなくてはならない、と心の中で誓いました。
それから私の負けん気が溢れ出て、必死になって、一生懸命セールスしました。
その結果、四ヶ月後くらいに月間で一千万円の売上げを達成することができました。
今までの四、五倍の売上げを上げたのですが、目標がはっきりして、自分では絶対にできると思っていましたから、苦労が楽しくなって、苦労したという感じがまったくしませんでした。
絶対に出来ると信じていたからできたのです。
しかし、後になって失敗したなと思ったことがあるのです。
それは、その後どんなに頑張っても月間で一千万円以上の売上げができないのです。
人間と言うのは、自分で作った自己イメージというものを越えられないのです。
当時の私は、自分自身で月間に一千万円売り上げる男という自己イメージを作り上げていたのです。
ですから、月間に一千万円の売上げを上げるまでは頑張れるのですが、それ以上の売上げを上げることができなかったのです。
社長と専務に大見栄を切った時に、自分は二千万円とか五千万円、一億円売り上げる実力があると宣言しておけばよかった、と後悔しました。
他人が聞けばホラに聞こえることでも、本人の自己イメージに合っていることならば、それは実現できるのです。
反対に、人間というのは、自分で設定した目標で枠を作ってしまうと、その枠に縛られてどんなに頑張ってもその枠以上はできない、ということになってしまうのです。
どうせホラと思われるならば、できるだけ大ボラを吹くのです。
そして、自分で設定した目標の枠を大きくするのです。