1453.人生とは自分の心を開拓し続けることだ②

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者成功と幸福を呼ぶ言葉より
昨日からの続きです。

しかし、脅して売るわけにはいきませんから、気に入られて売るしかありません。

私はニコッと笑顔を作って「先輩、私はまだまだ未熟ですからセールスのことをいろいろ教えてください」とペコリと頭を下げ、そのセールスマンの靴を磨いたり、煙草の火をつけたり、鞄をもったりして、そのセールスマンの車に乗り込んで、一日中ついて回りました。

そのセールスマンは「セールスはこうしてやるのだよ」といろいろ私に教えてくれるのです。

私は「さすが先輩、違いますね~」と相手を立てながら、相手の話す言葉をメモに取り、気に入られるようにして、そのセールスマンが気を抜いた合間、合間に宝石のセールスをしながら、ずーっとついて行ってとうとう相手の家にまでついて行きました。

家には、奥さんとお嬢さんがいました。

私はその奥さんに宝石を見せながら、全力でセールスしました。

「奥さん、宝石というのは奥さんが永年身につけてそれから子供に残していくものなのです。

お母さんの心が代々残っていくのです。この指輪を見るたびにお母さんのことが心に浮かぶのですよ。

お母さんの心が残っていくのですよ。実はこれは指輪でもなく、宝石でもなく、お母さんの心そのものなのです」

私は必死になって、思いつく言葉を全て並べて一生懸命セールスしました。

追い出されそうになると、なんとか粘ろうと突然「かわいいお嬢さんですね」などと、話題を変え、相手に好かれるように心掛けながらセールスしているうちに、あっという間に夜の十一時になりました。

奥の部屋でそろそろ帰れと言わんばかりに、わざと見えるように布団を敷き始めました。

それを見て、私は『なにくそ!よ~し、もし家族が寝たら、私は絶対に翌日の朝まで枕元で一人でしゃべり続けて寝させないぞ』と心に誓いました。

私は必死になってセールスし続けました。

そしてついに、昼の十一時から夜中の十二時まで粘りに粘った結果、とうとう相手は観念して、当時のお金で四十万円のダイヤモンドを買ってくれたのです。

私は、その家から帰る時、人間というのは必死になるとここまでできるのかというくらい極限まで全神経を集中させていたために、ふらふらになって倒れそうになりました。

しかし、ふっとその時にあることが私の頭に浮かびました。

『いや~待てよ。私の持っている商品には二~三万の安い物もあったのにわざわざ四十万円のダイヤモンドを買ってくれた。最初、私のことを馬の骨や石っころ呼ばわりした人に、たった一日で信用させて売ってしまったのだ。あっ、そうか本当に宝石を欲しくなったのだ。おれの誠意が伝わったのだ』

そう感じた時に、疲れがすっ飛んでしまって、嬉しくて足取りが軽くなり「そうか、わかったぞ!」と大声を張り上げていました。

全て自分の心で、見込客とか買ってくれそうもないとか、好きとか嫌いとか、勝手に決め込んでいたということに気がついたのです。

翌朝目が覚めた時には快晴のようにスッキリした気持ちでした。

私はこの体験で、どんなことでも実は、全て自分の心の問題だということを感じ取ったのです。

よい人や悪い人、買ってくれそうな人、そうでない人、全て自分の心の中の制限なのだ、全て勝手に自分で決めていた、ということに気がついたのです。

このことに気がついた時、自然に涙が溢れ出て、心の底から感動しました。

私はセールスを通じて、商売とは市場を開拓するのではない、自分のものの考え方、心を開拓することが全てだということを学んだのです。

だからこそ、昨日までやったことのないことを今日やってみるのです。

昨日と全く違う新しい自分になるのです。

どんなことでも嫌がらずにやるのです。

この体験で、全ての人がお客様に見えてきました。

全ての人が良い人に見えてきたのです。セールスとは、商売とは、人生とは、自分の心を開拓し続けることなのだと発見したのです。