佐藤先生の言葉をお伝えします。著者悩み解決明快答より
「ついにこの日が来たか…!」
口をあけたまま、まるで静止画像かのように微動だにしないわが妻…
妻の右手には、たった今まで、私と一体だったはずの、わが頭皮からはがれていったフサフサの黒髪のかたまり…
冷や汗が、空気に触れた頭皮にやけに冷たく感じる…
「な、なんでダマってたの~!?」
さて、この夫婦の行く末は知るよしもありませんが…(笑)
頭がハゲているのに、相手と結婚したいがためにカツラをかぶってお見合いしても、結婚すれば必ずバレます。
奥さんが真実を早く知っておいた方がお互いにとってもよいのです。
後になって…ということにもなりかねません。
ずっと一緒にいれば、「ボロ」は必ず出てしまいます。
はじめに出しておいた方が二人の方向性もみえてくる。
この人で良いのか、悪いのかがはっきりする。
そのほうが後々のためによいということです。
「ボロ」は出して、本音でいくのが一番なのです。
この「ボロは出せの法則」は、自分をとりつくろわないほうが悩みは早く解決するという法則です。
自分の中の「ボロ」を隠し続けていると、いつまでも悩みが消えないかもしれません。
というのは、自分の「ボロ」の部分が、悩みを生み出していることが多いからです。
本当に悩みを解決したいのなら、素の自分をおおい隠している「仮面」をはずさなければなりません。
「仮面」をつけていると、悩みの原因の「ボロ」の部分に手をつけられないからです。
これはものすごく大事な法則です。
なぜなら、みんな自分の悪いところは隠したがるからです。
「ボロ」というのは、自分が人に見られたくないものを指します。
例えていうなら顔についた汚れです。
人は誰でも「人からよく見られたい」と思っています。
それを悪いことだと思っている人もいるようですが、全然悪いことではありません。
逆に「人から悪く見られたい」と思っている人がいるでしょうか。
そんな人はいないと思います。
「人からよく見られたい」という気持ちを全く消してしまうと、自己成長がなくなってしまうことになってしまいます。
実は「よく見られようとすること」にも二種類あるのです。
一つは、自分に「仮面」をかぶせてよく見られようとすること
もう一つは、自分の素顔のよさを見られようとすること
この二つです。
顔が汚れているのに、「仮面」をかぶってそれを隠していたら、いつまでたっても汚れは落とせません。
自分を演出してよく見せようとしても、本質的には成長できません。
恥ずかしくても、思いきって仮面をはずして素顔を見せるのです。
そうすれば、人から汚れがついていることを教えてもらえます。
それが、注意であっても笑いであってもよいのです。どちらにしても汚れに気付くことができるんだから。
顔の汚れに気づけばそれを素直に洗い流せばいいだけのことです。
ですから素のままの自分をまず見てもらうことです。
私のところに、「良い子」という仮面を、幼いころから取れずに悩んでいる女性が相談にきました。
ご両親とお兄さんは頭も人柄もよい。
周りの人からも称賛されている。
一見、何の問題もないようにみえますが、こういう家庭環境で育った子供は孤独感を持ちやすいということがあります。
家族と自分を比較して、「何で自分は上手にできないんだろう」と悩んでしまう。
そして、自分一人が取り残されていると思ってしまうのです。
その寂しさのあまり、非行に走る子供もいます。
彼女は非行の道には走りませんでしたが、小さい頃から「良い子でいなきゃ」と思ってしまう自分が苦しかったそうです。
本当の自分の姿を見られるのが怖くて、本音を隠していたそうです。
うわべだけの自分が嫌で万引きをしてしまったこともあったそうです。
彼女は、私のアドバイスを聞いて、はじめはかなり苦しかったようですが、最後には「良い子」の仮面をはずすことができました。
そして「私は私のままで良いんだ。それが本来の姿なのだから。だから自分を偽る必要もない。私は勝手に自分で作り上げた仮面に苦しんでいただけなんだ」と気付いたのです。
「良い子でいなければいけない」という思いは、特にお母さんに対して強かったようです。
しかし、それもきれいに解決されました。
お母さんに対しても「今まで悪かったね。ごめんなさい」という思いと「私を育ててくれてありがとう」という感謝の気持ちが湧き上がってきました。
それ以来、彼女は親子仲良く暮らしています。
彼女は素顔の自分で毎日を歩み、多くの方から愛されるようになりました。
彼女のように、素顔の自分でいけば、どんどん自分の本質を磨いて成長できます。
そのためには、まず「汚れを落とそう!」とはっきり意識することです。
そこからすべてがはじまります。
誰かに悩みのことで相談しても、カッコつけて本当のことを言わなければ悩みは解決しません。
本音を言わない相談をしても、かえってモヤモヤするだけです。
医者にかかる場合でも、傷口や患部を見せないと治療のしようがないですよね。
それを見せなければ、解決のしようがない。
どうせ相談するなら、思いっきり「ボロ」を出さないと解決しませんよ。
仮面で隠していても汚れはとれません。
「ボロ」を出している人、出しきった人のほうがきれいなのです。
汚い部屋を見せないように鍵をかけていてもしかたありません。
それよりも、「部屋が汚れている。よし、ここから部屋をきれいにしよう」と言って鍵を開けた方が、その時点ですでにきれいになり始めている。
「仮面」はごみ箱のフタです。
そして「ボロ」は生ゴミです。
ゴミ箱の中に生ゴミをためて、「くさいものにフタ」で放置しておくと、中のゴミは腐って発酵しはじめます。
そうなる前に早めにゴミを出して、きれいにしてしまったほうがいいに決まっています。
「ボロ」を出すほど人は成長できます。
つい「ボロ」を出すと「怒られる」「変な目で見られる」「恥ずかしい」と思ってしまう。
たしかにそのときはカッコ悪く恥ずかしいかもしれません。
しかし、注意されたりアドバイスされたりすることで、はじめて改善できるのです。
怖くてなかなか人前で「ボロ」が出せない場合は、「よし、ボロを出そう!」と自分に向かって言ってみるのです。
そうすれば出せるようになります。
開き直って「怒られていいんだ。変な目で見られていいんだ」と思えばいい。
ちょっと訓練すればできるようになりますよ。
もちろん人の話からヒントを得ることはあります。
しかしそれだけで自分の問題は、なかなか解決しません。
やっぱり自分の問題を外に出さないとダメですね。
話を聞いて「参考にしよう」というくらいでは、まず絶対変わらないと思った方がいいです。
自分の性質、性格を変えるのはそんなに甘くないからです。
「ボロ」を出せる人は強い人です。
私たちは、どうしても人目を気にしてしまいます。
しかし、「ボロ」を出して変な目で見られること自体を気にする必要はありません。
それは、むしろ変な目で見るその人の問題であって、あなたにとって最も重要な問題ではないのです。
もっといえば「変な目で見られていると思っている自分」があなたの心に存在しているだけなんです。
もしかしたら、相手はそんなふうには見ていないかもしれない。
そう思うこと自体が妄想である場合が多いのです。
かりに変な目で見られても、あなたが問題にしなければいい。
とにかく周りの目を、気にしないことです。
豚は、みんなが「ぶかっこうだ」と思っても、周りからどれだけ変な目で見られようと、気にしないで悠々と生きています。
豚に限らず、動物も植物もみんなそうです。
ということは、変な目で見ている人が損をするだけです。
かりに、現在あなたが周りからそのように思われていたとしても、気にさえしなければいい。
悪口を言う人は、他の人のこともたくさん言っているから、それに振り回されることはないのです。
人間関係でも、「ボロ」を出さなければ、自分が相手と合うかどうかもわからないです。
相手も何を考えているかわからない。
「ボロ」を出したときに、その相手と合うか合わないかがわかってきます。「ボロ」は隠しても後から必ず出てくるから、できれば早めに出しておいた方がいいんです。
出すことでいろんなものがみえてくる。
ただし、入社試験のように「今後、必ず良い自分になる」という大前提がある場合は別です。
成長や変化またはそれ以上の自分になるという約束ができるのであれば、わざわざ「ボロ」を出す必要はない。
良いところを見せていても良い自分になるという努力をするからです。
しかしほとんどの場合、「ボロ」を出せるのであれば、思い切って出してみることをお勧めします。
特に今まで我慢して本音を押さえ込んできた人には、「ボロ」を出すことは効果的です。
はじめは少し痛い思いをするかもしれません。でも、やっていくうちにとても心が楽になりますよ。
あなたがかぶっている「仮面」を取った瞬間から、あなたの中で変化がはじまります。