佐藤康行の言葉をお伝えします。著者「悩み解決明快答」より
あの人が、もっとこういう性格になってくれたらなぁ」
「部長が、もっと部下の話を聞いてくれる人だったらいいのに」
「うちの旦那は、もっと家族のことを考えてくれてもいいのに」
誰でも、自分を悩ませている周りの人に何とか変わって欲しい、と思うことがあるものです。
では、その人たちに変わってもらうには、どうしたらよいでしょうか。
それには、とっておきの方法があるのです。
それは「鏡」に映るあなたの姿を変えることと同じなのです。
あなたが鏡を見て「ニコッ」としたら、「ニコッ」とそのまま返ってきます。
鏡に、「ニコッ」と微笑んでも、鏡に写ったあなたの顔がムスッとしていたら怖いですよね。
あなたの環境も同じなのです。
実は、あなたから見た周囲の環境、他人は、あなたの「心の鏡」なのです。あなたが見ている、出来事や他人に感じていることは、全部あなたの心に起きていることだからです。
「ニコッ」としたら、そのまんまそっくりは返ってこなくても相手の心は「ニコッ」としているはずです。
その心が、やがて「ニコッ」の表情にあらわれてきます。
だから、「ニコッ」が返ってきているのです。
怒りの顔をすれば、多少時間差があっても、相手も怒りの顔にまもなくなってきます。
ぜひ、周囲の人に「ニコッ」と微笑みかけてください。これは、人間関係の基本中の基本なのです。
これをすれば、それだけで、あなたの人間関係は、格段によくなります。
他人は、自分の心の「鏡」です。ですから、他人のようすを見ることで、自分の心の状態を知ることができます。
仏教の世界に、三界唯心(さんがいゆいしん)という言葉があります。
これは、私たちの認識する世界はすべて、私たちの心が作り出したものであるという意味です。世界は、心の内容をそのまま映し出したもの、心の鏡だと言っているのです。
そして、他人という「鏡」によって、自分の心の状態がわかれば、自分のどこを改善すればよいのかがわかります。
例えば、あなたが化粧室に入って、鏡に映った自分の顔を見る。
すると、あなたの顔の状態がわかります。
汚れているかもしれないし、化粧が崩れているかもしれない。
顔が汚れていたり、化粧が崩れていたりするのを見たあと、あなたはそのままの状態で化粧室を出ていきますか。
そんなことはしませんよね。
汚れていればハンカチで拭くでしょうし、化粧が崩れていれば直すでしょう。
その結果、汚れがとれる。化粧が直る。
それも鏡で確認できます。
このように他人という「鏡」を、自分を改善するために活用することができます。
格言にある「人のふり見て、わがふりなおせ」を実践することは、「鏡の法則」から見ても非常に有効なのです。
普段生活する中で、目の前の人の言動によっていやな気分になることはよくあります。
そんなときに、「鏡の法則」を思い出してみてください。
相手に対して嫌だなと感じることは、自分の中の欠けている部分、直したほうがよい部分を映し出しているのです。
自分が相手に持っている感情を、相手も同様に持っていると感じる現象を、心理学では、「投射」とよびます。
「鏡の法則」も「投射」の一種であると考えることもできます。
相手に、ネガティブな感情を持ったときには、それを相手にぶつけるのではなく、自分自身を改善するための材料とするほうが生産的です。
ただし、ここで、他人という心の「鏡」についてひとつ気をつけなければいけないことがあります。
それは、普通の鏡は瞬時に変わるけれど、心の鏡には、多少時間差があるということです。
だから、相手がすぐに変わらないからといってあきらめないことが重要です。これは法則ですから、ある程度の期間続けていれば、必ず変わってきます。
あなたから変わることなく、相手に変わることを期待しているだけでは、いつまでたっても状況はよくなりません。
鏡から先に微笑みかけてはこないのです。