1373.空洞化が意味する真実とは

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者生き方教室より
最近では不況に加えて、円高による経済影響がすさまじく、国内で物を生産しても海外との競争で勝てる見込みがない。

それで、生産の拠点を中国などの海外に移転しようとする動きが活発化しきた。

いわゆる「空洞化」といわれる現象が起こっている。普通、空洞化というと、あまりよくないことのように捉えられているが、私はその逆で、むしろ空洞化大歓迎である、と考えている。

空洞化大歓迎などというと、意外に思う方が多いのだが、それについて話してみよう。

日本人は太平洋戦争に負けて、国内は焼け野原になった。ペンペン草も生えないような状態になり、全くすっからかんになってしまった。そこへ、台湾の蒋介石さんが現れて、救ってくれた。

こういった、何もない状態から立ち上がり、ある時期、世界一の経済大国といわれるようにまでなった。

人間というのは、そこまで豊かになったら、それをずっと維持したくなるのだ。そして、維持できなくなったら、苦しむ。

ここまで、金が増えたら目減りするのを防ごうとして、ほんのちょっとでも目減りすれば、苦しむ、といった具合だ。

現状を維持することにいつまでも執着していても、振り回されるだけである。

日本人は戦争の廃墟を体験した国だから、非常に大きな使命を担っていると思う。

振り子は振り幅が大きければ大きいほど、反対側に大きく揺れる。大きく揺れれば、大変な勢いが付いて逆の方向に大きく戻る。

これが、現在の発展と幸福の原因である。

一番苦労して一番幸せになった人は、いろいろな人の心がわかるのと同じで、日本人は悲惨な廃墟の時代から世界一の金持ちになった、という振幅の大きさを考えると、大変な使命があるだ。

まず、そこに目覚めることが大切である。

では、これから日本人は何を考えるべきなのか。

日本という個単位で物を考える時代ではなくなってきている。

かつては、日本という個単位で考えて、愛国心を抱いて戦争になったのだ。愛国心は右翼の看板文句みたいに思われてあまりよい印象を持たれていない感があるが、愛国心自体はむしろ良いことなのである。

しかし、愛国心だけで終わったら駄目なのだ。「愛世界心」になるべきなのである。「愛世界心」「愛宇宙心」になれば、他の国家を奪ってやろうなどとは考えなくなるのだ。

もっと広く全体から物をみるべきだと思う。

日本という個でものを考えると、空洞化は悪いことだ。

なぜなら将来国家間に摩擦が起こったときに、自分で自給自足できなくなってしまうからである。そういった事態は確かに困ったことだ。

一人前ではなくなってしまうし、いざというとき独立できなくなってしまう。

しかし、世界中の人々の意識が目覚めて、世界は一つであるという認識を持てば、国家の独立についてうるさく論じる必要がなくなってしまう。

日本人が意識を高めて、世界は一つである、宇宙は一つである、と世界中の人たちに役立つ人になればいずれは国境の概念もなくなるはずである。

日本は廃墟から立ち上がり、何もなかった所からものを生み出した実績があるから、その原点に立ち返って世界中に散らばり、世界中を住処にすれば良いのだ。

そして世界の人々に尊敬される人間になり、貢献すればよいのである。

極端な話、地球全体が住処であるという観点から見れば、空洞化になろうがなるまいが問題ではない。

世界は一つ、平和しかないのだ、ということになれば、どこにだって住処はあるはずである。

日本中の人たちが世界に広がって、国内に誰もいなくなっても別にどうってことはないのである。

もっと極端にいうと、宇宙に地球よりももっとずっと住みやすい惑星があれば、地球からみんな移ってしまってもいいのだ。

そちらのほうが幸せなのだから。

空洞化を狭い視野で、個単位で物事を見るから心配が生じるのだ。大きな視野で全体として捉えたときには、全然違った発想になっていくはずである。

これからの時代は個ではなく全体から物事を見て、問題意識を持つようにした方が良いのである。