1196.相手になり切るとは

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。「人を裁くということ」

についてです。

私たちは、

「あの人は間違っている」とか、

「この人は、まだできていないなあ」と

いうように、

ついつい人を裁いてしまいます。

そして、

人を裁いてしまう自分を嫌になります。

なぜ裁きの心が出てくるかと言うと、

それは形が自分の中にあるからです。

形というのは、

(こうであらねばならない)という

観念のことです。

頭の中にそういう観念があるから、

その形にはまらない時、

裁きの心が出てくるんです。

本当の愛には

(こうであらねばならない)と

いうのはありません。

良い教えを教わっている人ほど

裁きの心が多いんです。

特に宗教などに

一生懸命はまっている人ほど、

よく人を裁いてしまうんです。

戦争が起きるのも、

裁きの心が原因なんです。

ビンラディンも

アメリカを裁いているんです。

また、

アメリカも

彼らを裁いているんです。

正義というやつが人を裁くんです。

(これが正しい)という概念が

人を裁くんです。

私も若い時は正義感が

ものすごく強い男だったんです。

ある時、

ある哲学者から、

「自分が正しいと思った瞬間から

間違いが始まる」という言葉を

聞いた瞬間、

「ああ!オレの欠点はこれだ!」って

わかったんです。

(自分が正しい)の一点張りで

物事を捉えていくと、

そこから

人を裁く心が出てしまいます。

裁きの心をなくそうと思ったら、

完全に相手になりきってみることです。

もし自分が

その人のような家柄に生まれて、

その人のような環境で育った時に、

自分は

どうなんだろうと相手になりきって、

紙に書いてみるんです。

そうやって相手になりきれば、

もうきっと相手が間違っているとは

思わなくなります。

(そうか。

自分も彼のような家で生まれ育ったら、

きっとそういう人間になっていただろう

な…)

(彼女のように、

あの宗教を子どもの頃から

植え付けられていたら、

私だってそういう行動を取るだろうな…)

きっと

そんなふうに思うことでしょう。

そうしたら、

もうその人が間違っているとか、

悪いとかは言えなくなるはずです。

「相手になってみると言っても、

人生経験の浅いうちは

そうはなれないよ」と

思うかもしれません。

だけど、

そうじゃないんです。

むしろ、

人生経験がない人の方が

簡単に相手になりきれるんです。

なぜなら

素直に聞くことができるからです。

人生経験のある人は、

自分の人生経験として

捉えてしまいます。

でもそれは

全部思い込みに過ぎないんです。

事実とは違います。

思い込んでしまうと、

やっぱり

自分の型にハメてしまいます。

思い込みは

なければないほどいいんです。

人生経験のない人は

聞くしかありません。

だから、

より正しく聞くことができます。

素直に誠実な態度で

「どうしてそういうふうに

言われるんでしょうか?」って

聞けばいいんです。

(この人はひょっとしたら

自分にはない何かを持っている

すごい人かも知れないぞ…)と

いうくらいの気持ちで聞けば、

どんな人でもどんどん話してくれます。

それを

素直に聞いてわかろうとすることが

相手の立場になるということなんです。

人を裁いているうちは、

(まだ自分のスケールは小さいんだ)と

受け止めることです。

相手の問題ではなく、

自分の問題として受け止めるんです。

自分の成長度合いとして見るんです。

「あいつはダメだ」

「こいつもダメだ」と

言っている間は、

まだまだ人間が小さいんですね。

ただ、

(あの人はバカだから

しょうがないよ)と

他人のせいにしてしまうことも、

一瞬で悩みを消すコツではあるんです。

私も以前、

ものすごく悩んたことがあったんです。

その時に

ある先生の話を聞きに行ったら、

その先生が大真面目な顔をして、

「もし何かあったら全部

人のせいにしなさい」と言うんです。

それで私は

心の中でその通りにやってみました。

(あいつが悪いんだ、

こいつが悪いんだ…。

そうだ、

オレなんか何にも悪くないんだ!)と。

そうしたら、

ものすごく心が楽になったんです。

だけど、

考えてみれば、

心は楽になったものの

そのままでは使えないんですね。

もし、

そのまま口に出してしまったら

どうなるでしょうか?

今度は人とぶつかりまくって、

ますます悩みが増えてしまいます。

自分一人だけならいいけど、

人との関わりの中で

生きているんですから、

これでは

あんまり通用しないんです。

だから、

そういう方法も悩まないと言う意味では

一理ありますが、

私はあんまりお勧めはできません。

裁く人というのは、

案外、

心の中だけで裁いていて、

そのことを

口に出さない人が多いものです。

しかし、

明らかに相手の行動が組織全体を

乱しているというような場合は、

そのことを

正しく相手に伝える必要があります。

または、前もって、

ルールを作っておくべきなのです。

そうやって、

一定のルールを作って、

それに沿ってやっていれば、

余計なところで人を裁いて、

一人で悩むこともなくなります。