1529.言葉を変える「言葉のマジック1」

真我日記

佐藤康行の言葉をお伝えします。著者「悩み解決明快答」より

昨日からの続きです。

一つ目は「自分に語る」言葉のマジックです。

これは、非常に重要な話です。

なぜなら、このことを知っているのと知らないのでは、あなたの人生が「悩みで苦しみ続ける」か、「良いことだらけで、喜びにあふれたものになる」か、くらいの差が出てしまうからです。

「アイツなんて失敗しちゃえばいいんだ!」

あなたの嫌いな人が、順風満帆に物事をすすめているところを目の当たりにすると、思わず、そんな言葉を吐いたり、心でつぶやいたりしまうことは、人間であれば誰でもあるものです。

そんな言葉を、相手に直接聞こえるように言えば、当然、相手は悪影響を受けて、本当に失敗しかねません。いや、仮に心の中でつぶやいただけだとしても、その想念は相手にも伝わるものなのです。

しかし、失敗する可能性をもっと持っているのは、言った本人です。

あなたが話をしているときに、一番近くでその話を聞いているのは誰でしょうか。

それは、あなた自身です。

仮に「○○なんか、失敗しちゃえ!」と言葉に出すと、あなたの意識では相手にいったつもりでも、心の深層にある無意識(潜在意識)では、その主語が伝わらないという性質があるのです。

つまり、「○○なんか」が抜けて、「失敗しちゃえ!」という言葉の思いだけが残って、無意識に影響を与えます。

「失敗しちゃえ!」という影響を受けた無意識は、それを指示と受け止め、その大きな力を総動員して、指示を実現するような働きをしてしまうのです。

実は言葉を使って人に何かを説得する場合、それは自分を説得していることになるのです。

「人を呪わば穴ふたつ」とは良く知られている言葉ですが、この言葉を知りながら意外に、率先してふたつの穴を掘ってばかりいる人も多いのです。

学校の先生が、忘れ物をよくしてしまう生徒を「忘れ物防止係」に任命します。

そして生徒は、「忘れ物防止係」として、毎日のホームルームの時間に「忘れ物に気をつけてください」とクラスメートに呼びかけるわけです。

すると、おもしろいことに、その生徒自身がほとんど忘れ物をしなくなります。

このように他人を説得するという「他者説得」が、同時に自分を説得するという「自己説得」につながるということは、心理学的にも認められている現象です。

つまり、あなたが発する言葉が、あなた自身をも動かしているということです。

あなたが発するすべての言葉は、あなた自身に語りかけられているのです。

それは、「ひとりごと」でも、「相手に言う言葉」でも同じです。

では、どのような言葉を自分に語ればよいのでしょうか。

それは、「相手を喜ばせる言葉」です。

「相手を喜ばせる言葉」は、それは「あなた自身を喜ばせる言葉」でもあるからです。

仮にあなたがすっきりしていなくてもかまいません。

心にもないことでもいい。

相手が喜ぶ言葉を、自分から先に言ってみてください。

たとえ相手が理解できなくてもかまいません。

一人の高校教師が私のところに相談に来ました。

彼は、生徒は好きだけれども、学校の雰囲気が合わないということが悩みでした。

朝目覚めると、どうしても「学校に行きたくない」という心が出てきていました。

他にも悩みがあったようです。

しかし、私のアドバイスを受けてから、彼は変わりました。

まず、生徒たちに自分から気持ちよくあいさつするようにしました。

はじめは意識してやっていました。

しかし、それを続けているうちに、人からどう見られているかがあまり気にならなくなりました。

そして、気にならないだけでなく、そんなふうに挨拶することが楽しくなってきたのです。

意識して自分から先にあいさつすることにより悩みが解決したのです。

ですから、とにかく「相手が喜ぶ言葉」を言ってみることが大切です。

その言葉を一番聞いている「あなた」は、楽しくてうれしくて喜びいっぱいの自分をどんどん発見できるようになります。

「喜ぶ言葉」と同時に「感謝の言葉」も、とてもいい影響があります。

「財産化の法則」のときに挙げた例をここでも使いましょう。

お客さんのためにと一生懸命料理を作ったコックさんが、お客さんから料理の味について苦情を言われました。

意外な反応にドキッとしたり、「何をいうか!」と反発の心が出てきてしまうのは当然のことです。

しかしここで

「いやぁ~ありがたいなぁ!」
「こういうことを指摘してくれる人がいるんだ。しかも無料で。嬉しいなぁ」

という言葉をまず言ってみます。

すると、不思議なことに、本当にありがたいという感謝の気持ちに変わってくるのです。
なぜでしょうか?

それは、事実として、「本当にありがたい」ことだからなのです。

これは、単に、「嫌だな」という心にフタをするような自己暗示をするための方法ではありません。

人間の心には「こう言って欲しい」「こうであって欲しい」という自分の希望があります。

それが裏切られたときに反発心が出てきます。その心が「本当にありがたい」という事実にブロックをして、見えなくさせてしまっているのです。

その事実を、先に言葉で言ってしまうことによって、このブロックを解き「では、何が本当にありがたいのか」という視点を持てるようになるのです。

そうすることによって、その「本当にありがたい」という事実を発見しやすくなり、その事実に納得できたときに、心から感謝の気持ちが湧き出てくるのです。

この場合のありがたい事実とは、「その苦情と反対のこと(例えば味が濃いと言われた場合に味を薄くするということ)をすればよいと教えてくれていること」、「人によって味覚が違うということを教えてくれていること」などです。

相手に対して、とにかく、「喜ばせる言葉」、「感謝の言葉」を語る。

すると、それらの言葉は、何よりもまずあなた自身の心に伝わって、あなたの心は、喜びと感謝で満ち満ちてきます。

これが、自分に語る言葉のマジックです。